障がい者の親も補助を ロビンソンさん県内施設巡り激励


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クリフ・ロビンソンさんとマリータさん親子(右)=5月28日、沖縄市のおきなわ工房

 2011年にニュージーランドで、障がい者の親に公的補助を支給するよう政府に求め提訴し、裁判で要求を勝ち取った、クリフ・ロビンソンさん(75)と娘のマリータさん(46)が来県し、県内の福祉施設を巡っている。

2人は5月28日、沖縄市のNPOおきなわ自立支援センターの障がい福祉サービス事業所「おきなわ工房」を訪れた。障がいのある子ども2人を育てたクリフさんは「40年以上、障がい者を取り巻く環境を良くするためだけに生きてきた。一生終わりはない。他の親たちも引き続き頑張ってほしい」と語る。
 「障がい者の面倒を見るのは親の責任」という考えが根強かったニュージーランドで、クリフさんら同じ境遇の家族が集まり、提訴したのは2001年。当時、障がい者本人への公的補助はあったが、親への支給はなかった。政府を相手取り「勝つ見込みはない」と言われた裁判を10年かけて闘い、要求を勝ち取ったクリフさんらに、国民や報道機関も注目した。
 提訴当時、65歳だったクリフさんは、年金をもらって人生を“引退”する時期をいざ意識した時、「自分の人生に引退はない」と考えを固め、行動を起こした。小頭症で知的障がいのあるマリータさんと、小頭症に加え、統合失調症や糖尿病などを併発する弟のジョニーさん(43)を、男手一つで育ててきたからだ。妻は子ども2人が小さい頃、失踪した。「人生の全てを2人にささげてきた」と振り返る。
 現在、障がいのある子の親に補助金が支給される国は、ノルウェーやオランダなど。ニュージーランドでは法改正を経て13年5月から支給が始まったが、全ての親に補助されないことが分かり、帰国後も問題解決に取り組まねばならない。
 マレーシア旅行中に偶然出会った中川真菜美さん(26)=南風原町=との縁で来県した。(石井恭子)