懐かしカメラ現役 宮本さん一枚の「過程」楽しむ


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「シノゴ」と呼ばれる大判カメラ「フィルスタンド45―II」を愛用する宮本由雄さん=5月27日、宜野湾市の嘉数高台公園(金良孝矢撮影)

 6月1日は「写真の日」。ピントや露出の設定が自動化されたデジタルカメラが普及する今の時代に、宮本由雄さん(41)=宜野湾市、会社員=は、写真館などで使用されていた「シノゴ」と呼ばれる大判カメラ(4×5インチシートフィルムを使用するカメラ)を愛用する、数少ない一人だ。

 三脚にシノゴを固定し、蛇腹を伸ばしてレンズを付ける。遮光のため黒い布をかぶり、大きく写る構図を見ながらピントを合わせて露出を決める。フィルムをセット後、カメラを揺らさないよう静かにシャッターを切る。
 「使い方は100年前と変わらない。基本は一緒」。一つ一つの作業を丁寧にこなしていく宮本さんは「(撮った写真は)隅々まで写り、臨場感がある」と魅力を語る。
 小学校4年生のころにフィルムカメラに興味を持ち始めた。周りが最新式のカメラを使っていても「自分で(カメラの設定を)するのが好きだった」と笑顔で話す。
 宮本さんがシノゴを使い始めたのは、昔の古典的なカメラで撮影する記事が掲載された雑誌がきっかけだった。「写真の技術の深さに興味を持った」という。5年前にタチハラ写真機製作所(東京都)が製作する「フィルスタンド45―II」を購入し、モノクロでポートレートや集合写真を撮り始めた。写真は自分で現像して引き延ばし、撮影した人にプレゼントする。
 写真一枚を撮るのに細かな作業が必要になるシノゴ。だが、宮本さんは「一枚一枚大事に撮る過程が面白い」と強調する。「街並みや風景の撮影にも挑戦してみたい」と探求心は尽きない。(金良孝矢)