「同年代の体験」継ぐ 白梅同窓会・沖尚高、交流10年


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 1945年の沖縄戦当時、野戦病院での傷病兵看護に動員された、県立第二高等女学校の女子学徒らによる白梅同窓会(中山きく会長)と沖縄尚学高校地域研究部の交流が、ことしで10年目を迎えた。

沖縄戦で焼失し、学校が再建されなかった第二高女の戦争体験を継いでいくという生徒らの「後輩宣言」に始まり、慰霊祭での代表焼香や野外学習などを通して10年の交流を重ねてきた。今では、沖尚生が県外の高校生を現地に案内し、白梅学徒隊の足跡を伝えている。生徒らは「同年代の女学生が体験した戦争を知り、多くの人に伝えたい」と活動の継続を誓う。
 2004年、当時の地域国際交流クラブ(現地域研究部)の生徒らが、足元にある沖縄戦を知りたいとの思いを抱き、顧問を務めていた與座宏章教頭の声掛けで同窓会との縁が始まった。学校での講話を皮切りに交流が始まり、8月には生徒から「後輩宣言」が手渡された。中山会長(84)は「私たちの戦争体験を受け継ぎ、伝えてくれて本当にありがたい」と感謝する。
 地域研究部には現在、1、2年生約40人が在籍し、10年前の先輩が作成した白梅学徒隊の資料を引き継いでいるという。同部ではことしに入り、長崎県や広島県から訪れた高校生らを現地に案内している。
 前部長の比嘉夏希さん(18)=3年=は「戦争のことを話したくない人も多い中、当時の状況を話してくれている。その機会を生かし、私たちも他の人たちに伝えていきたい」と話した。現部長の藤原佳倫(かりん)(16)さん=2年=は「今の自分の年齢の時に戦争を体験して、どのような思いだったのかを聞いていきたい」と意気込む。
 昨年から地域研究部の顧問を務める長嶺愛香教諭(26)は「生徒たちがとても大切にしてきた活動で、戦争体験のない私も、生徒たちと一緒に勉強でき、光栄に思う」と語り、今後の活動への意欲を見せた。(石井恭子)

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