自民「辺野古」明記へ 参院選公約


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】自民党は4日、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、参院選公約に「県内移設」を明記しない方針を撤回し、名護市辺野古への移設を推進するとしたことを一転して盛り込む方向で調整に入った。

石破茂幹事長が同日夜、県連の照屋守之幹事長と都内で会談し、6月中旬ごろまとめる党公約に「辺野古移設」の明記を検討していることを示唆した。県内移設明記の最終決定は週明けにも県連側に伝えられる見通し。
 また、石破氏は照屋氏に対し、地方版公約で県連が明記する予定の「県外移設を求める」との表現について「何とかならないか」とし取り下げるよう要請。これに対し、照屋氏は「何ともならない」と拒否し、妥協点は見いだせなかった。
 照屋氏は4日夜、琉球新報の取材に対し、「これまで県民に約束したことでもあるので県外移設を撤回するわけにはいかない」と述べ、地域公約に「県外」を掲げる方針を堅持する考えを示した。
 自民党はこれまで、県外移設を主張する県連に配慮し、公約の原案段階であえて辺野古移設に触れず、「危険性の除去」「固定化阻止」との表現で県内移設推進の党方針をぼかす方向で調整していた。だが、埋め立ての同意書を提出していた名護漁協組合が辺野古移設を明記しなければ同意を撤回すると政府に伝えたことで状況が一変し、方針転換を迫られたとみられる。
 名護漁協は5日、幹部会議を開き、同意書の撤回について話し合う予定だが、自民党の動向が影響を与える可能性もある。
 照屋氏によると、石破氏は「20日ごろに正式な公約を出したいが、(普天間移設については)どう表記するか迷っている」と述べ、辺野古移設を明記する可能性を示唆した。照屋氏は会談で、参院選沖縄選挙区に自民党公認で立候補する安里政晃氏が県外移設要求を明記した個人の政策を発表した経緯を説明。「県連もそれに沿って、地域版公約作成の詰めの作業をしている」と説明した。