島の子は伊江牛無料 本島進学の高校生支援


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離島出身の生徒の生活支援をする「伊江牛」糸満直売所の名嘉健二さん(左)と従業員の喜屋武ナツコさん=1日、糸満市西崎

 【糸満】離島の子におなかいっぱい食べてほしい―。糸満市西崎に4月にオープンした農業生産法人「伊江牛」の糸満直売所は、離島から本島の学校に通う高校生に向けて、総菜の値引きや、自慢の伊江牛を無料で振る舞うなど、生活支援をしている。

同社は、自身も離島出身の名嘉健二さん(37)=伊江村=と妻の亞依子さん(36)夫婦が切り盛りをする。支援には「商売抜き」で子どもの成長を助けたいという、二人の気持ちが込められている。
 高校がない離島では、進学に伴い、親元を離れ、本島で一人暮らしを始める子どもが多い。生徒らの中には、親の仕送りに余裕がないため、アルバイト漬けの生活を送ったり、一人暮らしに慣れず、生活リズムを崩したりする子もいる。離島出身の生徒らの進学・生活支援が課題となっている。
 中学を卒業後、本島の高校に通い、部活に明け暮れた健二さん。「離島の高校生の親は、二重の家計を負担するため借金をして、子どもを進学させるところもあり、中には仕送りに余裕がなく、食費を削る子がいる。我慢せず、おなかいっぱい食べてほしい」と支援を始めた理由を説明する。
 亞依子さんは「私たちにも1歳の子どもがおり、明日はわが身だ。このような支援をみんなが広げてくれれば、子どもたちを離島から安心して送り出せる」と支援の輪が広がるように願っている。
 開店から1カ月余。店頭にポスターを貼って告知している。この支援を求めて、おなかを減らした高校生が週に2~3回訪れるという。

英文へ→Free Ie Beef for high school students from neighboring islands