現役医師、琉球コラソン選手に 夢追い沖縄へ


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医師から転身し、琉球コラソンの一員として日本リーグに挑戦する中村彰吾さん=4日、那覇市の興南高校体育館(渡慶次哲三撮影)

 現役の医師が、ハンドボールで国内最高峰の世界へ飛び込む。日本ハンドボールリーグ(JHL)の琉球コラソンがこのほど行ったトライアウト(入団テスト)に、岩手県出身の中村彰吾さん(30)が合格した。

4日に沖縄入りし、チームに合流した中村さん。「地元の岩手で多くの励ましをもらった。期待に応えられるよう頑張る」。喜びをかみしめ、人生の新たなステージに立つ。
 高校で競技を始め、秋田大学医学部に進学後も、医学部のハンドボール部に入部した。2009年に卒業後は、盛岡市内の病院で麻酔科や内科の医師として働きながら、高校のOBチームやクラブチームでプレーを続けた。
 学生時代に全国大会出場など目立った実績はなく「日本リーグは雲の上の存在。自分がそこでやるなんて考えたこともなかった」という。だが、社会人になって練習時間が限られることもあり、ハンドボールへの思いがどんどん募っていった。時間さえあれば、地元の高校の指導者に頼み込んで練習に参加した。
 今回のトライアウトを琉球コラソンのホームページで知ったという中村さん。「どうせ無理だ、とここで逃げたら後悔する」と迷わず沖縄行きの航空券を予約した。走力や技術、試合での動きなどを試す本番では、持ち前のスピードや跳躍力を発揮した。チーム関係者は「結果は一番良かったし、熱い気持ちも評価した」と言い、合格者2人のうちの1人に選ばれた。
 沖縄では当面、医師としての仕事はせず競技中心の生活を送る予定で、「試合に出られるなら、どこのポジションでもいい」と意気込む。琉球コラソンは昨季、リーグ5位という過去最高成績を収め、プレーオフまであと一歩だった。「チームが日本一になる瞬間に、コートに立っているプレーヤーになりたい」。中村さんの夢を懸けた2013~14シーズンは9月、開幕する。(大城周子)

英文へ→Doctor joins handball team to pursue his dream