実現可能性に疑問 維新・橋下氏ら米訓練移転構想


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
安倍晋三首相と会談を終え、記者の質問に答える橋下徹大阪市長(中央)と松井一郎大阪府知事(左)、下地幹郎そうぞう代表=6日、首相官邸

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長、同会幹事長の松井一郎大阪府知事は安倍晋三首相に対し、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの一部訓練を八尾空港(大阪府八尾市)で受け入れる構想を提案した。

全国自治体の中でいち早く受け入れを表明したが、住宅密集地にある同空港での訓練に政権内からは実現可能性に疑問符が付く。
 橋下氏は記者団に「実現可能かどうか、精査していない。政府と米軍でしっかり検討してもらいたい」と語り、検討をスタートさせることが重要だと強調する。
 八尾空港には陸上自衛隊八尾駐屯地が隣接し、周囲には住宅密集地が広がる。防衛省幹部は「八尾は大阪の『普天間飛行場』だ。住宅地や学校に囲まれ、民間機も利用する中、危険性が高い」と指摘する。別の幹部は「西日本では、すでに岩国基地がオスプレイの訓練拠点となっており、東日本での拠点確保を求めている」と米軍側のニーズがないとする。
 だが、昨年9月の日米合意から約9カ月を過ぎても、訓練移転実施のめどは立っていない。日本政府が、訓練移転にかかる予算を8月の2014年度予算の概算要求に盛り込むかどうかも、不透明な状況だ。
 防衛省によると、米軍側から訓練計画が具体的に示されていなく、本格的な協議に入っていないという。移設先との調整の困難さも指摘する。
 さらに会談後の記者会見で、橋下氏は「(そうぞうの)下地幹郎代表は沖縄で初めて、辺野古移設を真っ正面から容認された。であれば、(本州での)オスプレイの訓練はいいんではないか。八尾市民もその話をすれば納得してくれる」と強調。米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖移設を前提とした訓練移転であることを示唆した。
 オスプレイに対する安全性への懸念は配備後も払拭(ふっしょく)されていない。7月にはオスプレイ12機が追加配備される。安全性への懸念から配備撤回や、訓練移転を求めている県民の思いをよそに、旧日本軍の従軍慰安婦や在日米軍の風俗活用に関する発言で厳しい状況に追い込まれている橋下氏が巻き返しを図ろうと、沖縄の負担軽減への取り組みをアピールする姿勢が際立った。(問山栄恵)