ガマや壕生かす野外学習に力を 平和学習シンポで提起


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ガマフヤーの具志堅隆松代表から掘り出された戦没者の遺品などの説明を受ける参加者ら=6日、那覇市の教育福祉会館

 第2回シンポジウム「ガマ~沖縄の平和学習の現状と方向性」(高教組教育資料センター主催)が6日、那覇市の教育福祉会館であった。

5年ぶりの開催で、教育関係者や平和ガイドなど約80人が訪れた。教員や遺骨収集団体から5人が登壇し、学校現場で萎縮、形骸化する平和学習の実情を報告した。また、講話だけでなく、各地に残るガマ(自然洞窟)や壕をもっと生かし、野外学習にも力を入れていくことが提起された。
 那覇市立城西小学校の下地史彦教諭は、6月に一斉に始まる平和学習の「とりあえずビデオ鑑賞」に見られる学びの形骸化を指摘、「事前や事後の指導が大切だ。戦争に勝った側である米軍が撮影した映像の持つ意味も理解させないといけない」と話した。
 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「戦争の事実を目で確認した子どもたちが、沖縄戦体験者がいなくなった後、次世代の証言者になる。皆さんのやっている平和学習は間違っていない。誇りと自信を持ってほしい」と教師らを激励した。琉大非常勤講師の北上田源氏は、ガマ体験が“暗闇体験”に終わらないよう、伝える側の工夫を訴えた。
 高校生のための戦跡図書「ガマ」改訂版の出版も報告された。定価1500円、県内有名書店で近日中に発売。問い合わせは沖縄時事出版(電話)098(854)1622。