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本部町備瀬区で使用されているしまくとぅば1万2千語以上を一冊に収めた「備瀬言葉」(ビシクトバ)がこのほど発刊された。同区出身の歌人・仲田栄松さん(86)=那覇市=が編集し、300部を自費出版した。仲田さんは「生まれ故郷・備瀬への恩返しを少しでもできればうれしい」と満足げに語り、同区も「後世に文化を継承する支えになる」と発刊を喜んでいる。
1984年に備瀬区の字誌を編集・発刊していた縁もあり、仲田さんにとって「備瀬言葉集」の発刊は長年の懸案だった。字誌発刊以降、新聞やラジオなどに出てくる単語としまくとぅばの訳語をノートに書きためていたこともあり、近年各地で発刊されている地域の言葉集にも刺激を受け、昨年4月ごろから編集作業を進め、ことし4月30日に発刊した。
「備瀬言葉集」はA5判で全325ページ。衣食住や祭事、自然など、単語を分野ごとに整理しているのが特長で、仮名表記やローマ字表記も併せて記している。
仲田さんは冒頭に、自身の思いを込めて詠んだ琉歌「幾里隔めても 幾世変わるとも 清らさ備瀬言葉 忘てなゆめ」(いくら離れていても いくら世が変わっても 美しい備瀬言葉は 忘れてはならない)を掲載した。
仲田さんは「『備瀬言葉』は字誌と一対をなすものだ。発刊できてよかった」と話した。備瀬区の高良善久区長は「われわれも知らない言葉があり、貴重な資料だ。後世へ伝えられるよう活用したい」と語り、仲田さんに感謝した。
「備瀬言葉」は同区民や郷友会、一部の自治体などに配布される予定。