極彩色のサウンド 内田勘太郎


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木村充揮(左)とも共演し、自在な演奏で来場者を酔わせる内田勘太郎=2日、北谷町のライブハウスモッズ

 ブルースギタリスト・内田勘太郎のソロ活動15周年記念ライブ「HOME TOWN BLUES」が2日、北谷町のライブハウスモッズであった。金城浩樹(ベース)、JETのコーチャン(ドラム)ら沖縄で活動を共にするメンバーとの演奏に加え、憂歌団で共に活動した木村充揮(ボーカル)も登場。

1998年のソロアルバム「マイ・メロディ」発表以来、15年間の活動で築いた沖縄の風を呼吸したサウンドで、来場者を酔わせた。
 インストゥルメンタル曲「ブリージン」で幕開け。寂しげな音色で運ぶ「スリープウォーク」などのインスト曲も強い印象を残す。
 「ブルース君」などで時折、コーチャンや金城を振り返り、アイコンタクトを取りながら楽しげに演奏する内田。「サマータイムブルース」は小気味よく刻むギター演奏、ひずんだリフレインを響かせる。コーチャンの苦い表情とともに繰り出す老かいなドラムプレー、金城の堅実なベース演奏に支えられ、内田のファンキーなギターが際立つ。
 「BC通り」や「暴風波浪警報」などのインスト曲を再び挟み込むと、その演奏に会場が沸く。内田の瓶の首を使ったスライド奏法は、滑らかな音程の変化で縦横無尽に描く極彩色の旋律から、めいっぱいひずんだ上に浮遊感たっぷりのぐにゃぐにゃなサウンドまでを自在に繰り出す。
 「ムーンリバー」はデビュー前から使っていたというギターを奏で、会場をアコースティックな音色で満たす。〈コーヒーシャープ〉などの単語や地名をちりばめて沖縄への愛着を示す「オキナワ Bright Light」は、のりまついずみ(クラリネット)とのデュオ。
 木村を呼び込むと、だみ声ボーカルの味わい深いブルース「地獄谷クロスロード」、世知辛い世に染み渡る木村のシャウトが鮮烈な「おそうじオバチャン」と立て続け。もんどり打って内臓をはき出すかのような叫びの「胸が痛い」で会場の雰囲気は最高潮に。観客の求めに応じ「十九の春」や「ゲゲゲの唄」も歌い、アンコールは沖縄移住後に初めて作った曲「美らフクギの林から」(作詞・石垣勝治)で締めくくった。(宮城隆尋)