25年で街の姿一変 那覇市真嘉比古島


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
区画整理され、新たな建築が進む真嘉比地区=7日

 那覇市真嘉比古島の「第2土地区画整理事業」が年内で完成する見通しとなった。同事業は下水道整備が立ち遅れた住宅密集地の住環境改善のため1988年に始まった。

4度の計画変更など紆余(うよ)曲折もあったが、25年を経て完了、市民に新しい町を提供する節目を迎えた。
 同事業は約51・4ヘクタールの土地に地権者約1800人が関わり、総事業費484億円を費やした。地域が沖縄戦の激戦地だったため、遺骨収集などの対応に追われた。
 那覇市の区画整理課によると、区画整理の対象となった真嘉比古島地区は60年ごろから不規則に住宅が立ち並び、88年の事業開始時には地区のほぼ全域で無秩序な宅地化が進んでいた。墳墓が散在し、くみ取り式便所の住居が密集していた。
 こうした地域の現状を改善するため、地権者、自治会、那覇市、土地所有者の代表らによる審議会が組織され、事業を推進した。真嘉比の中央、東、西、南に公園を整備し、散らばっていた墳墓は墓地街区を設置して集約した。幹線道路や宅地整備も進み、地権者へ土地の引き渡しもほぼ済んで、次々と新しい建物が建ち始めている。本年度末まで細かい補修工事が続くが、地番変更が実施される年内で実質的な事業は完了する。
 「くみ取り便所の家だったころはお客さんが来たときに困った」と振り返る真嘉比自治会の高屋英正会長(73)は「お墓や山、木も多くて、区画整理は大変だった。道路が通って環境が良くなり、新都心に負けないくらいの真嘉比地区だ。真嘉比の字誌も町名変更が実施される12月までに出したい」と完成を喜んだ。