女優の業、孤独描く わが街の小劇場、演劇「楽屋」


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役に固執する女優たちの業を演じた(左から)又吉裕子、川満彩杏、平良直子、金城理恵=5月31日、那覇市の「わが街の小劇場」

 「わが街の小劇場」プロデュース第3弾の演劇「楽屋」(清水邦夫作、福永武史演出)が5月31日から6月2日まで那覇市の同劇場で上演された。「県内演劇の女性陣を活性化させたい」と考えた福永がオーディションで4人の女優を選出。

現実と劇中の対決が重なり役に固執する女優の業や孤独、寂寥(せきりょう)感をじりじりと描き出した。31日の公演を見た。
 出演は金城理恵、平良直子、又吉裕子、川満彩杏(あい)。物語は、真っ暗な楽屋の中、主演女優のC(川満)が出番を待つ場面で始まる。のし掛かる重圧に、獣のようなうなり声を上げるC。観客の女優に対する華やかなイメージは、冒頭から壊される。自尊心が強く気性の激しいCは、川満の普段の穏やかな雰囲気と正反対の役だが、新たな一面を見せた。
 主役を取られたと思い込んでいる女優D(又吉)は、Cに枕と役の交換を迫る。らんらんとした目に狂気が宿っていた。終盤で、女優Dと、死んだ後も楽屋に通う女優A(金城)、B(平良)は永遠に来ない出番に向けて稽古を始める。その姿は、演じることの麻薬的な魅力から離れられない女たちへの賛歌に思えた。