計画策定18年以降 海兵隊グアム移転


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 【米ワシントン11日=島袋良太本紙特派員】在沖米海兵隊約9千人のグアムなどへの移転事業に関し、米国防総省が具体的な費用や工程の見積もりを示す「基本計画」の策定時期を「2018年かそれ以降」と想定していることが分かった。

米政府監査院(GAO)が11日に公表した報告書で明らかになった。移転関連予算を審議中の米議会は基本計画の策定を予算を通す条件にしており、米議会の今後の対応次第では、予算凍結が5年以上続くことになる。在沖海兵隊の移転とそれに連動する嘉手納基地より南の基地返還に遅れが生じることが懸念される。
 GAOは報告書で、移転に関する日米間の費用負担を定めた12年の日米合意に関する積算額は「現実的でない」として、さらに増えると指摘した。国防総省は基本計画について「環境影響評価(アセスメント)と米軍受け入れ国との交渉が終わるまで作成できない」と説明し、関係国との交渉は「数年を要する」としている。
 GAOは「米軍受け入れ国」がどの国か明示していない。だが、移転事業をめぐる積算費用の増加や米国の財政難による議会の圧力を背景に、米側が移転先である豪州ほか、日本政府に移転費用の負担増について再交渉を迫る可能性がある。
 一方、国防総省は5月、琉球新報の取材に対し「2012年の日米合意の変更は考えていない」とし、費用負担をめぐる再交渉を否定している。
 報告書は移転費用について「より現実的な積算が必要」と結論付け、「信頼性のある積算がなければ議会やその他利害関係者の意志決定に必要な情報が提供できない」とした。「老朽化が進んでいる」との理由で、再編後の在沖米軍基地の維持費に関する具体的な見積もりを示すことも国防総省に求めた。移転事業をめぐるグアムの環境アセスについて、米軍は2015年の完了を予定。在沖海兵隊が移転予定のハワイではグアムの環境アセス後に始まり、「完了時期は未定」とした。