本島周辺海域で新種の甲殻類 シンノカンザシ、ハゼの頭に寄生


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上野大輔さん

 琉球大学理学部特別研究員の上野大輔さん(32)はこのほど、沖縄本島周辺の海域で新種の寄生性甲殻類を発見したと発表した。この生物は、エビやカニに代表される甲殻類の仲間「カイアシ類」の一種。全長約5ミリで、体長3センチに満たないハゼ科魚類の頭部に寄生する。和名は「シンノカンザシ」と名付けられた。この研究成果は、5月末に国際科学雑誌「Zootaxa(ズータクサ)」に掲載された。

 上野さんによると、ハゼの頭部に体の一部を食い込ませて寄生する「カイアシ類」は世界的に極めて珍しく、今回の発見で2種目になる。「シンノカンザシ」は楕円(だえん)形の本体から、バネのように巻いた卵が詰まった袋(卵のう)をぶら下げている。
 上野さんは2009年6月、名護市の大浦湾の水深約30メートルの岩礁域で「シンノカンザシ」を発見した。調査は世界自然保護基金ジャパンの「南西諸島生物多様性評価プロジェクト」の一環。その後、名護湾や国頭村沖の15~35メートルの水深帯でも生息が確認された。
 上野さんは、今回の発見について「このような不思議な生き物が生きているということは、沖縄の海の生物が多様だということを示している」と話した。