キビ共済加入率上昇 台風被害、農家に危機感


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 サトウキビ共済加入率が、近年の台風被害や県の加入促進支援事業などで上昇している。県農業共済組合(比嘉俊昭組合長理事)によると、県内作付面積のうち共済に加入している割合(引受率)は、2005年以降は40%前後で推移していたが、12年産は前年から2・7ポイント増の41・0%、13年産はさらに7・8ポイント増の48・8%と5割に迫る勢いだ。同組合担当者は「過去20年では最高」としている。

 加入率は1990年代に40%台で推移していたが、沖縄は自然災害が多く掛け金が全国平均の約1・3倍に上ることから、2005年には23・0%にまで落ち込んだ。しかし、それまで生産量の減少が続いていたサトウキビの復活に向け、農林水産省が05年に「さとうきび増産プロジェクト会議」を発足。その一環で共済加入の促進に取り組み、その後は40%前後にまで回復した。
 県は12年度から、一括交付金を活用して加入者を資金補助する「農業共済加入促進支援事業」を導入。加入農家の肥料費や収穫機の使用料など、負担掛金の22%相当額を補助、12年度の生産農家への支払い実績は3063万円。一方、組合に対しては、説明会やポスター作製など加入推進活動の経費などに補助し、12年度実績は654万円だった。
 同組合は同年度、サトウキビ共済の説明会を県内全域で開催。合計190回、生産農家や行政関係者など計8330人が参加した。県内のサトウキビ農家は約1万5千戸で、そのうち13年産では7・3ポイント増の36・1%が加入した。引受率の向上には、11年産サトウキビが台風被害で復帰後最低の生産量となったことも影響した。甚大な被害を受けた農家は危機感を強め、引受率が上昇。11年産の支払金額は前年比12・3倍の8億795万円に上った。
 引受率の全国平均は6割。同組合は12年から10年間で7割が目標。担当者は「生産者の経営安定の一翼を担い、サトウキビ産業を共済で支えたい」と加入を勧めた。(長嶺真輝)

サトウキビ共済の引受面積と引受率
サトウキビ共済農家負担掛金と支払共済金の推移