那覇市立小中校 不登校が大幅減 12年度、26%減


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那覇市内公立小・中学校の不登校児童生徒数

 那覇市内公立小中学校の不登校の児童生徒数が、2012年度は前年度比26・4%減となり、大幅に減少したことが14日までに分かった。11年度の不登校児童生徒数は小学生154人、中学生379人の計533人だった。

翌12年度は小学生93人(前年度比39・6%減)、中学生299人(同21・1%減)の計392人となり、全体で前年度比141人減少した。
 同市教育委員会は「独自に作製した不登校対策のリーフレットを全教員に配布し、共通認識を持たせたことが奏功した」と分析。さらに教育支援相談員も全校に週4日配置し、児童生徒のケアに取り組んだことも効果を上げたとみている。
 リーフレットは文部科学省の指針や、全国の先進的な取り組みを参考に、12年4月にまとめた。各校の職員室などに掲示したほか、各教師の週案簿に貼り付け、常に目に付くようにした。
 リーフレットでは連続欠席3日までの対応の大切さを明記。欠席1日目は電話で状況確認し、2~3日目に家庭訪問、4日目からは組織的な対応を行うとしている。
 リーフレットの制作担当者は「不登校は支援する側が空回りして、疲弊してしまうことが多い。効果のある方法を分かりやすくまとめた」と話す。教職員が共通意識を持つことで対応がしやすくなったという。
 同市教育委員会教育相談課によると、市内の不登校児童生徒数は11年度に大幅に増加。市教委は、不登校対策で大きな成果を上げた石嶺中の取り組みを参考に研修会を開催し、意識改革を図った。さらに、週平均3日だった教育相談支援員を、一括交付金を活用し、全小中学校に週4日配置した。
 教育相談課の神谷乗治課長は「児童生徒に無理をさせず、温かい声掛けや早めの対策を講じることが大切だ。取り組みを継続することで、さらに不登校は減らせる」と話した。(関戸塩)

<用語>不登校
 文部科学省は病気や経済的理由を除く年間30日以上の欠席者を不登校として調査している。2011年度の不登校児童生徒数は全国で11万7458人(小学校2万2622人、中学校9万4836人)、県内1813人(小学校412人、中学校1401人)だった。