与那国自衛隊配備 町有地賃貸 年1500万円


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 【与那国】防衛省の与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊と航空自衛隊移動警戒隊の配備計画をめぐり、与那国町と同省の町有地賃貸契約案が19日分かった。町有地21・4ヘクタールを年間約1500万円で貸し出す。

町は20日の町議会に契約に関する議案を提出。同日中に与党の賛成多数で可決する見通しで、両者は早期の契約締結を目指す。外間守吉町長の自衛隊配備への「協力費」10億円の要求で一時滞っていた自衛隊配備計画が一気に加速することになりそうだ。
 防衛省は従来、農牧地となっている同町有地を年500万円で借り上げる方針を示していたが、外間町長が14日に「協力費」要求の撤回を同省に伝えたことに配慮し、町が求めていた宅地並みの借地料で算定し直し、3倍に上積みした。
 町が貸し出すのは島の南牧場とインビ岳西側の町有地。南牧場には自衛隊庁舎や隊舎など、インビ岳西側には移動式警戒管制レーダーを設置する。自衛隊用地には12筆の民有地も含まれており、今後防衛省が個別に契約交渉をする。町有地のほとんどは牧場だが、一部雑木林も含む。
 南牧場は現在農業生産法人南牧場組合が賃貸しており、町は組合の契約解除を前提に議会の同意を得る。敷地に牛舎があり、防衛省は補償交渉に取り組む。
 契約には町が求める地域振興に防衛省が最大限努力するとの内容も盛り込む方針。
 ただ町長は「協力費」撤回をまだ公言しておらず、防衛省は今後の町議会での発言を注視している。
 与那国島への自衛隊配備をめぐっては、町有権者の半数近くが反対の署名を提出しており、意見が二分している。
 8月11日投開票の町長選には反対派、誘致推進派の与那国防衛協会、外間氏の3者に出馬の動きがあり、町長選の行方にも注目が集まる。