戦死の級友思い 喜舎場国民学校、68年越し卒業式


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68年越しの卒業証書を授与される喜舎場国民学校の卒業生ら=19日午前、北中城村立北中城小学校体育館

 【北中城】北中城村立北中城小学校(伊敷ひろみ校長)で19日、戦争のため卒業証書を受け取れなかった喜舎場国民学校の卒業生が集い、卒業式が開催された。

昭和20年3月に卒業予定だった80歳を超える卒業生ら17人は、卒業を祝福される感動と、戦争で亡くした級友たちへの思いを胸に、68年越しの卒業証書を受け取った。
 式には同小の全児童763人と卒業生の家族、新垣邦男北中城村長をはじめ教育委員や村議らも参加した。卒業生は児童らの手拍子に合わせて入場し、校歌を斉唱。国民学校当時の島袋正輝校長の代理として、伊敷校長が卒業認定を行った。証書を手にした卒業生の中には、当時を思い出して涙を浮かべる人もいた。
 卒業生を代表して安里一三さん(80)は「私たちが6年生の時は、戦争で学校に行けず、とても勉強できる状況ではなかった。戦争ほど、ばかげたものはない」と訴え、「われわれは運よく生き延びて、たくさんの人に卒業を祝ってもらえて幸せだ」と喜びを語った。
 児童代表であいさつした比嘉柊太郎君(6年)は「戦争の中で生きることの大変さと怖さを、あらためて考えた。自分たちができることを考え、争いのない世界にしたい」と訴えた。
 式辞で、伊敷校長は「大先輩の卒業生を全児童、全職員で心から祝福したい。68年の間に亡くなってしまった同級生の方々も、きっと式を喜んでいると思う」と述べた。

英文へ→Kishaba Elementary School’s seniors hold graduation ceremony after 68 years