議会が用地契約可決 与那国自衛隊配備


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自衛隊への町有地賃貸議案に挙手で賛成する与党議員3人(左)と反対した野党議員2人=20日、与那国町議会

 【与那国】与那国島への自衛隊誘致に伴い、防衛省側が与那国町への振興策としてごみ処理施設や漁業関連施設などの施設整備を検討していることが20日、分かった。

与那国町議会(前西原武三議長)は同日、陸上自衛隊沿岸監視部隊などの用地として町有地約21・4ヘクタールを年約1500万円で防衛省に貸し出す賃貸契約についての議案を審議し、3対2の与党多数で可決した。防衛省は今月中にも町と仮契約を結び現在、町有地を使用している農業生産法人南牧場(大嵩長史社長)と補償交渉を進める。
 南牧場の町有地は現在、南牧場社が借りており、本契約の締結は南牧場との契約解除が条件。南牧場社には自衛隊誘致に反対の意思を示す組合員もいることから今後、同社との交渉が焦点となりそうだ。
 防衛予算での施設整備に関し、町側は沖縄振興特別措置法並みの9割負担を求めており、防衛省側は町の費用負担軽減を模索している。また、防衛省が町も使用できる光回線を島内に整備し、敷設費や維持管理費を負担する方向で調整していることも判明。町内のインターネット回線は現在、町が年間約260万円の維持管理費と台風などによる修繕費を負担するが、防衛省の整備後は回線使用料の負担だけで済むという。
 外間守吉町長は決議後、記者団に「市町村協力費」10億円の要求を撤回し、町有地賃貸の議案を提出したことについて「諸官庁にそういう項目がなかった。内外で批判を浴びた」と説明。「10億円に近いハード事業の裏負担について面倒を見てくれることで話が進行している」と述べ、振興策に期待した。