夏の県高校野球 甲子園へ裏方も一体


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「お世話になった人たちに頑張っている姿を見せたい」と笑顔を見せる新垣亮磨=美里高校グラウンド

 第95回全国高校野球選手権沖縄大会が22日、沖縄セルラースタジアム那覇などで開幕する。8月に甲子園球場で行われる選手権大会に出場できるのはわずか1校。今大会には県高校野球連盟に加盟する全63校が参加しており、選手らは勝利をつかむため日ごろの練習成果を試合にぶつける。

一方、グラウンドには立てなくても記録員としてチームに貢献する生徒、副主将として選手を支えている女子部員もいる。それぞれのこの夏にかける思いを紹介する。(平安太一)
 夏の大会を間近に控えた美里高校のグラウンド。練習に汗を流す選手らの姿を、3年の新垣亮磨(17)は真剣な表情で見詰めていた。四肢まひのため車いすで生活する新垣は、選手たちと一緒にプレーすることはできないが、記録員としてチームを支えている。「記録からマネジャーの仕事、選手へのアドバイスまで何でもやります」と笑顔を見せる新垣。「最後の大会は少しでも長く試合して、お世話になっている人たちに頑張っている姿を見せたい」と語る。
 野球と出会ったのは幼稚園のころ。父親が出場する試合を見て「こんなスポーツがあるんだ」と魅力に取りつかれた。小学2年のころに少年野球チームに参加。練習を始めたときは「本当にうれしかった」と言う。試合には出場できず、キャッチボールが主な練習だった。それでも野球が好きだという気持ちが冷めることはなく、中学に入ると硬式野球チームに所属した。
 中学では「選手としてプレーするのは難しいけど何か自分にできることを探そう」と考え、選手のサポート役に回った。高校では試合の際のスコア記入を受け持ちながら、プレーで気になった部分を各選手に伝えている。今大会では記録員としてベンチ入りし、選手と共に甲子園を目指す。
 「ここまで来られたのも周囲の人たちが支えてくれたから。家族の支えも大きかった」と新垣。「大会では選手が伸び伸びと野球ができるよう、力になりたい」と決意を込めた。