重量挙げの全日本選手権第2日は22日、秋田県立体育館で行われ、女子63キロ級は松本萌波(いちご)がスナッチ90キロ、ジャーク115キロのトータル205キロで制した。同69キロ級は阿部美月(豊見城高―金沢学院大)がトータル171キロで、同58キロ級は金城尚乃(豊見城高―自衛隊体育学校)がトータル181キロで優勝した。
男子77キロ級は白草竜太(和歌山県教育庁)がスナッチ138キロ、ジャーク170キロのトータル308キロで1位となった。今大会は世界選手権(10月・ポーランド)の代表選考会の一つ。
◆3本目を気合で差す 阿部美月
3月に豊見城高校を卒業したばかりの阿部美月(金沢学院大)が、69キロ級としては最後の大舞台で栄冠をつかんだ。
大会直前まで減量していた阿部。暑い中でも汗をかくために服を着込み、食事も制限した。そのため、金沢学院大での練習中に体が悲鳴をあげ、熱中症で倒れてしまった。
それでも何とか計量では69キロ未満をキープ。「体調が不安だったから」スナッチは当初の予定より5キロ少ない重量から開始する堅実な試合展開で、3本目で72キロを成功させた。
ジャークは「差しが危なかった」と話すものの、1本目90キロ、2本目は94キロを淡々と挙げた。しかし、トータルで優勝するにはあと4キロの重量を挙げる必要があったため、3本目は99キロに設定。「優勝したかった」。気合で成功させ、トータル171キロで表彰台に乗った。
「ぎりぎりで勝てた」と、胸をなで下ろした阿部。約2週間後の西日本インカレからは、きつい減量を回避し記録を伸ばすために一つ上の階級の75キロ級で出場する予定だ。「体調管理に気を付けながら体づくりをして、3位以内に入りたい」と、躍進を誓った。
◆足の故障乗り越える 金城尚乃
重量挙げ歴約12年のベテラン、女子58キロ級の金城尚乃(豊見城高―自衛隊体育学校)が、故障を乗り越え初の栄冠をつかみ取った。
スナッチは2本目で78キロに成功したが、吉田朱音(金沢学院大)に同じ重量を挙げられ、体重差でスナッチ2位に。
ジャークで巻き返しを狙おうと、1本目で100キロに挑戦したが「肘が曲がってまって」落としてしまった。それでも「若い子に負けてられない」と、2本目で101キロ、3本目は103キロをクリアし、トータルでは181キロで2位の吉田に競り勝った。
現在26歳の金城。実は、3年前から左足の付け根を故障しているという。練習中、無理な体勢のままスナッチをして以来、普段の生活でも痛みを抱えたままだそうだ。
それでもつかんだ初の頂点に「まだ実感がない」と話す金城は「周りのサポートがあったからだと思う」と、謙虚に振り返った。
目標は、まだ実現できていない日本代表選手として世界大会への切符をつかむこと。今大会優勝したことで、その夢に一歩近付き、「次は世界順位にも絡んでいきたい」と、大きな夢を描いた。