軍刀から平和学ぶ 遺族、名護博物館に寄贈


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第1護郷隊の村上治夫隊長の軍刀を贈呈した遺族の村上仁美さん(右端)と平田陽子さん(左から2人目)=23日、名護博物館

 【名護】1945年の沖縄戦中、名護市の多野岳などで上陸した米軍にゲリラ戦を展開した第1護郷隊(第4遊撃隊)の隊長、故村上治夫氏が当時、腰に差していた軍刀が慰霊の日の23日、遺族から名護博物館に寄贈され、同日のみ展示された。

 市によると、名護市に関する沖縄戦資料で、軍刀の寄贈は初めてという。軍刀は刃渡り71・4センチ。やいばや柄(つか)、革張りのさや下緒(さげお)などが当時のまま残っており、保存状態はかなり良いという。
 23日に贈呈式が行われ、村上氏の長男村上仁美さん(61)と長女平田陽子さん(64)から、島福善弘館長に手渡された。
 仁美さんによると、沖縄戦の詳細を深く語らなかったという父親の一周忌を迎えた2006年、軍刀を保管していた親類から手渡されたという。
 その後、交流のあった名護市文化課市史編さん係の川満彰さんを通して、同館への寄贈を決めた。
 同日は、第1護郷隊に所属していた玉里勝三さん(85)さんらも駆けつけ、沖縄戦当時の村上さんの様子などを語った。
 軍刀の平和学習への利用について、川満さんは「軍刀は、国のために殉じる武士道を精神的に養わせる物の一つであるが、窮地においては住民へ向かう武器にもなった。軍刀には戦争における武士道のありさまやその帰結を見ることができる。軍刀がどのように使われたか、その事実を考えていくために利用したい」と語った。