鉄軌道、全15ルート 赤字 内閣府予測


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
鉄軌道事業採算性予測のモデルルート

 【東京】内閣府は25日、沖縄に鉄軌道を導入した場合の事業採算性などの予測調査結果を発表した。南北縦断路線(糸満―名護)を基本に鉄道とトラムトレイン(専用軌道の路面電車)の双方で仮定の5モデルルートの組み合わせで計15ルートを設定。

全ルートで毎年赤字が発生し、開業40年後の累積赤字は2100億~6800億円に上るとした。費用便益費(費用対効果、B/C)は0・4から0・5で、事業化の目安とされる1・0以上に及ばなかった。
 事業採算性などの調査は11年度に続き2度目。内閣府は累積赤字の縮減策として鉄道リニアの導入や施設簡素化などを検討したが、B/Cは0・02~0・06程度の改善にとどまった。内閣府は「費用便益費を上げるよう今後の調査でさまざまな縮減策を検討したい」としている。
 概算事業費は鉄道で6200億~9200億円、トラムは4100億~6100億円。県内の道路交通事情や地形や地質などから地上、高架、地下などをそれぞれ設定した。
 事業の採算性を確保するためには、鉄道は需要予測の2・0~4・5倍、トラムは1・7~3・2倍程度の需要が必要とした。
 調査は利用需要喚起方策として、国内外の先進事例を検討し、アンケートや聞き取り調査を実施。(1)適切な運賃割引や利用しやすい運行ダイヤ(2)駅に近接する駐輪、駐車場整備等の交通結節機能の強化(3)多様な媒体による適切な情報提供の実施―などで需要喚起方策をさらに深化させて今後の調査に反映させる方針。
 ルートは糸満―名護間の単線が軸。宜野湾から恩納村の西海岸側を通るルートも代替軸として設定した。本部、南城、八重瀬、那覇空港につながる支線3本も設定。糸満―名護間の駅数は鉄道で30駅、トラムトレインで41駅と設定した。