歌だけで定評を得た実績を再確認
今年3月に逝去した女性歌手のシングル集。あらためて収録曲一覧で驚いたのが、本人の作詞・作曲が皆無だったことだ。アイドルやシンガーソングライターではなく、歌だけで定評を得た実績を再確認できる。
1979年の荒井由実作詞、筒美京平作曲によるノスタルジックなミディアム調のデビュー曲『やさしい都会』から始まるdisc1、2度の休業前後にシティポップからレゲエ調まで様々な曲調を模索したdisc2(特に『ミッドナイトにベイブリッジ』における『悲しみがとまらない』と同一曲想の林哲司に注目)があるが、両ディスクで印象的なのが、杉真理の明るく弾けたバンドサウンドだ。須藤の声との相性は抜群で、近年までコラボが続いたことも大いに納得。また、吉田美奈子風のハイトーンから、中原めいこ風の甘酸っぱさまで表現できる歌唱力にも感心。これを機にアルバムまで踏み込みたいファンもいるだろう。
本作から、“記録の名曲”より“記憶の名曲”をもっと探したいと思うはず。
(ソニー・ミュージックダイレクト・3000円)=つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
つのはず・まこと 1968年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、T2U音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションCDの企画・選曲などを手がける。
(共同通信)
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