埋め立て2310億円 辺野古申請書 告示・縦覧を開始


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 県は28日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、沖縄防衛局が県に提出した公有水面埋め立て承認願書を住民に公開する告示・縦覧を開始した。7月18日までの3週間、県庁や名護市役所や同市役所の各支所など8カ所で一般公開するほか、県のホームページでも閲覧できる。同願書の資金計画では、埋め立て工事費用が2310億8700万円を予定していることが明らかになった。

飛行場建設を含む全体の工事費は示していない。
 願書は、添付されている環境影響評価書などを含めて6冊で計約8800ページ。工事期間は5年を予定し各年ごとの工事や資金の計画を明記した。県は縦覧期間中、利害関係者の意見を受け付ける。
 埋め立てに使う土砂の採取量は約2100万立方メートル。岩ずりの採取場所は県内が本部と国頭、県外が徳之島(鹿児島県徳之島町)、門司(福岡県北九州市)など7県の9地区15カ所。採取場所や搬入経路を地図で示した。地区別にストック量を示したが、実際に採取する地区別の量は明記していない。
 キャンプ・シュワブ陸上部や辺野古ダム周辺から採取する土は、分析試験結果を添付したが、県内外から購入する土砂(海砂や岩ずり)約1700万立方メートルは、業者と契約後でないと特定できないとして、分析結果が添付されなかった。
 防衛局は申請手続きを終えた後、土砂を購入する時点で分析試験を実施し県へ報告する方針。埋め立て土砂の8割を占める購入土砂の分析が申請時点で示されないまま内容審査へ入る。
 願書に添付されている環境影響評価書は、提出した時点と同じ内容。県が「環境保全は不可能」などと指摘した同評価書の問題点は残ったままだ。埋め立て後に機能が変わる可能性がある辺野古漁港の防波堤などに関し、設置者の名護市が不同意の理由を記した書類も公有水面埋立法10条に基づいて添付された。
 防衛局は28日、記者団への説明で同市の同意を得る努力を続けるとしつつも「同意が得られないことが、承認できないことにはならないと考える」と、市が不同意でも工事に踏み切れるとの見解を示した。

英文へ→Henoko reclamation to cost 231 billion yen

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請書の内容を確認する人たち=28日午前、県行政情報センター
埋め立て申請の流れ