他分野交流で深化 若手実演家招きシンポ、魅力や課題語る


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自身の活動や芸能の課題について語った(右から)嘉数道彦氏、佐辺良和氏、宮城茂雄氏。左端は司会の當間一郎会長=7日、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」

 沖縄芸能史研究会(當間一郎会長)の第38回研究発表大会が6、7の両日、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で開催された。7日のシンポジウム「琉球芸能の魅力 若手芸能実演家は語る」は、宮城流能里乃会教師で国立劇場おきなわ芸術監督の嘉数道彦氏、琉球舞踊世舞会教師で県立芸大非常勤講師の佐辺良和氏、宮城流教師で沖縄国際大非常勤講師の宮城茂雄氏が登壇。芸能を始めたきっかけや幅広い活動で得た成果、今後の課題などについて語った。

 作家、演出家としても活躍している嘉数氏は、自身も子どものころは組踊に興味がなかったことに触れ「子どもたちに組踊を知ってほしいという思いが、新作を書いたきっかけ。今やっていることが芸能にプラスなのかという葛藤もあるが、自分に与えられたこと、できることを一歩ずつ進めたい」と話した。
 佐辺氏は昨年、韓国の大学で琉舞を教えた経験が、琉球芸能の特徴や魅力を見詰め直すきっかけになったと説明。宮城氏は京都で1年間、能や古典文学を学んだことなどを紹介した。
 質疑応答で、當間会長は、幅広い活動を今後どう絞り込むのかについて質問した。3氏とも「舞踊と組踊が原点」という考えで一致し、宮城氏は、他分野との交流が自らの芸を深めることになると付け加えた。
 若手の生活の安定について、嘉数氏は「生活ができないと(芸に)打ち込めないが、苦しい中で継承されてきたからこそ魅力ある琉球芸能であり、『単に生活を保証して』というだけではいけない。自らの意識の持ち方を示していかないといけない」と強調した。佐辺氏と宮城氏も同調した。
 6日の特別講演は、県指定無形文化財「沖縄伝統音楽箏曲」保持者の仲嶺貞夫氏が琉球箏曲の起源などについて発表。「琉球箏曲発展のためにはオリジナル曲を増やしていく必要がある」と主張した。
 7日の講演は、沖縄伝統音楽野村流保存会の玉城政文会長が登壇。本調子述懐節について、二揚調述懐節と同様に下句を繰り返して歌うのが自然であると提案した。
 そのほか、長浜眞勇氏は歌劇における歌三線について、兒玉絵里子氏は紅型の踊衣装について、國吉清昴氏は湛水流がなぜ7節9曲のみ伝承されているのかについて発表した。赤嶺秀義氏はハーリーの発祥について、平良薫氏は大宜味村謝名城に伝わる歌劇「雪払い」について語った。