友情深め 将来の糧に 世界若者ウチナーンチュ大会 18日、ロスで開幕


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 世界の若い県系人100人以上が一堂に集う第2回世界若者ウチナーンチュ大会(世界若者ウチナーンチュ連合会主催)が18日から4日間、米国ロサンゼルスで開かれる。

大会では、文化ワークショップや国際会議などが開かれる。大会を前に、講演者や参加者に大会への抱負や展望、意義などを聞いた。(当銘貞夫米ロサンゼルス通信員)

◆県内から参加の名城さんら/「可能性」発見に期待
 那覇出身の名城信吾さんは琉球大学理学部を2012年4月から1年間休学し、半年間で世界一周の旅をした。昨年11月にロサンゼルス入り、北米沖縄県人会を訪れた。13年4月から復学した。
 大会への期待について「若者のこれからの未来に対して、沖縄というルーツを持つ私たちがどう協力し合い、どういった可能性が発見できるか。われわれの人生にどう相乗効果が出せるのかを知ること」と話す。
 大会で出会う各国のウチナーンチュと熱い友情を結び、再会の誓いをし、16年に行われる第6回世界ウチナーンチュ大会にも力を貸してもらう関係を築くのが目標だ。数年後、県内の高校教員になった際に、国際交流や留学サポート、そして世界各国のウチナーンチュの沖縄留学に対するサポートに携わりたいと強調した。
 屋良奈々美さんは 琉球大学1年、宜野湾市出身。現代版組踊「肝高の阿麻和利」の活動への参加をきっかけに、沖縄の文化にとても魅力を感じた。第5回世界のウチナーンチュ大会の感動が強く残っている。その時は大会や移民について何も知らずにただ参加していたが、今は、世界若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)の活動を通して移民や大会の歴史について知る。
 各国の同世代と共につくり上げる若者大会では「さらに大きな感動が待っていると思う。言葉の壁に負けずに、世界のウチナーンチュと交流し、絆を築きたい」と願う。
 並里咲子さんは沖縄国際大学2年、本部町出身。13年4月からWYUAで活動。母はブラジル2世。第1回若者大会の参加をきっかけに自分のルーツを勉強し始めた。
 今回アメリカ大会の一部に含まれている「Family Tree」という自分のルーツを知るプログラムに興味があり、このことをきっかけに自分のルーツを調べることにした。母方がブラジル移民のルーツで、父方が今帰仁の出身で、歴史がある家に生まれたという。「アメリカのウチナーンチュは、ウチナーンチュ魂が弱いと聞いているのでその魂に火を付けたい」と意欲を燃やす。

◆県系として誇り胸に/ゲスト講演者 タマリ・宮城さん
 若者大会の特別講演者の一人に2012年ロンドンオリンピックで米国女子バレーボール・メンバーとして銀メダルに輝いたハワイ生まれの沖縄系4世のタマリ・宮城選手(26)がいる。タマリさんは現在カリフォルニア州アナハイム市に在住し、米国オリンピック委員会のオフィスで勤務している。
 タマリさんは今回の若者大会に招聘(しょうへい)講師として選ばれ、米国バレーボール選手の一人として沖縄系の若者たちに自分の生い立ちや、夢の実現に向かって努力していることを話す機会が持てることを誇りに思っている。自身が沖縄系であることに常に誇りを持ってきた。たとえ沖縄があまり知られていなくても、家族は常に沖縄の習慣を生活の中で取り入れてきた。
 講演内容はハワイアン・ウチナーンチュとしての幼少時のことや、やがて成長して米大陸の大学へと進み、米国バレーボール・オリンピック選手の一員として活躍「銀」に輝き現在に至ったことなど、プロ選手としての「心意気」をバレーボールを通して若者たちに伝えることができれば、と強調する。
 昨年9月、タマリさんの五輪「銀」を祝福して北米沖縄県人会はささやかな祝賀会を催したことに強く感動したと熱く語った。
 米国オリンピック委員会が欲する限りそこにとどまり、2016年にブラジルで開催される次期夏のオリンピックバレーボール選手の一人として頑張りたいと、胸の内を明かした。現在カリフォルニア州在住だが、自分の古里は終生変わらずハワイだと強調した。

◆神戸出身の山田さん/沖縄系若者らの将来展望に興味
 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の博士課程で研究論文に取り組んでいる神戸出身の山田亜紀さん(27)の研究課題は「アメリカにおける新1世(日本人永住者)家族の教育ストラテジー(方針)に関する研究」だ。第2次大戦後、とりわけ日本における高度成長期以降の1970年代以降に渡米し、永住者となっている新1世やその家族の教育ストラテジーに焦点を当てている。
 研究過程でロサンゼルスにおける沖縄系のコミュニティーや文化継承など、沖縄系とその人々の教育的価値観に興味を持ち始めた。
 2012年11月、「池間島の言語と文化―池間プロジェクト」がUCLAでワークショップ(研究発表会)が開催された時、山田さんも参加した。8人がクイチャーなどを紹介した。
 2度目の研修は去る5月20日で、UCLAの岩崎勝一言語学教授と一緒にウチナーグチ・クラスを参観した。岩崎教授は言語学の立場からの見地、山田さんは「北米に移住した新日系人」の研究論文の一部にできればと参加した。山田さんは「アメリカに住む沖縄と縁がある人は多様な背景を持っている。時代と歴史的背景により、どのような形で沖縄と関係しているのかを知ることができた」と話した。
 そして第3弾が18日からの世界若者ウチナーンチュ大会への参加だ。スケジュールの都合上、全てに参加はできないが、最終日の「国際会議」にはオブザーバーとして出席する。「自分と同じ世代である世界の沖縄系の若者たちがどのような考えを持ち、将来にどのような展望を持って生きていくのかを知りたい」と強調した。

◆くじけない魂 継承へ/ゲスト講演者 ジャニス・金城さん
 第2回世界の若者ウチナーンチュ大会実行委員会は18日から始まる大会で、研究発表する12人の特別講演登壇者を発表したが、その一人、米ニューヨーク在住メーキャップ・アーティストのジャニス・金城さん(32)にどのように講演を進める計画をしているかを聞いた。金城さんは沖縄系アメリカ2世のリーダーの一人。「沖縄の文化、人々、地域社会ともっと親密な関係を保つことができるような努力をしたい」と話す。
 沖縄には両親と一緒に毎年夏に訪れているが、大会が沖縄系の人々に自分のプロとしてのメーキャップ・アーティストのキャリアを紹介できる最初の機会と捉えている。
 金城さんの両親は沖縄出身の金城義男、淑枝夫妻で、保険のビジネスでカリフォルニア日系人の中でも成功者の一人として日系社会、特に沖縄系社会に貢献してきた。金城さんはアメリカに沖縄系のアーティストがたくさんいることに誇りを持っており、自分もその一人だと思っている。
 金城さんは大会の講演で、自分がどのような環境で育てられたか、毎年夏に行く沖縄の人々から授かった「決してくじけない負けない魂について、多くの人に伝えるチャンスに胸が湧き躍る」と言う。その気持ちを大切にして「将来も同じような精神を持続できれば」と語った。女性誌コスモポリタン7月号には金城さんがラテン系モデルに「ハリウッド・スタイルのメーキャップ」をしている記事が紹介されている。

名城信吾さん(左)=北米沖縄県人会館ヤマウチ・ビル
ロンドンオリンピック終了後、北米沖縄県人会に招待されたタマリ・宮城選手=2012年9月、北米沖縄県人会センター
UCLAキャンパスに立つ山田亜紀さん
インタービューに答えるジャニス金城さん