田名グスクを調査 石積みや池、土橋に工夫


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調査をする山本主任専門員=伊平屋村の田名グスク

 【伊平屋】伊平屋村にある城跡「田名グスク」の調査のため、県教育庁文化財課の山本正昭主任専門員がこのほど、伊平屋村を訪れた。

 地元でウッカーと呼ばれる山の山頂にある「田名グスク」は、同村で唯一の城跡としての形状をとどめる遺跡だが、その由来について伝承はないという。
 グスクへ至る山道には監視用の曲輪(くるわ)と呼ばれる平場が無数にあり、グスク城門の出入り口は故意に左側へ折られ、武者隠しのような防御機能も備えているという。東側の緩やかな尾根沿いには累々と高い石積みがなされ、北側の尾根には堀切(ほりきり)や尾根を細く削った土橋(つちはし)の造作もされていた。眺望の良い山頂には鍋底型の池が掘られるなど、工夫が施されていた。
 調査に当たった山本主任専門員は「本島北部や中南部のグスクの両特性を兼ね備えた、形態的にも興味深いグスクである」と印象を語った。
(野甫英芳通信員)