発想豊か 創作披露 新垣範独演会


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「元たらくじ」を踊る新垣範会主=6月30日、浦添市の国立劇場おきなわ

 八重山舞踊勤王流祥吉範乃会の新垣範会主の第2回独演会「八重山ぬ想い 踊る掛きて」が6月30日、浦添市の国立劇場おきなわで開催された。勤王流の踊りを忠実に踊った2008年の第1回独演会と異なり、自身の創作を多く盛り込んだ。

創作ダンスを教えていた新垣らしい、発想豊かな振り付けが印象的だった。
 創作舞踊「元たらくじ」は、歌三線の横目大通が書いた詞を用いた。「思勝て幾夜 里ゆ殺さ(夜ごとに思いは深まり、この思いはあなたを殺してしまうかもしれない)」とつづり、若さと情熱にあふれていた。新垣は紅型の打ち掛けを脱ぎ、それを抱き締めるような振り付けで、女の内に秘めた情念を表現した。
 最後を飾った創作舞踊「月ぬまぷぃろーま」は、同名曲と「とぅばらーま」の2曲構成。恋する乙女たちを歌う「月ぬ―」では、大きく使う手が深い愛情を、さっと駆け寄る動作がかなわぬ恋へのいら立ちを感じさせた。「とぅばらーま」を用いた後半は、望郷の念を抱き締めるように、かがんでうつむく。南風原絣(がすり)の衣装は見た目の美しさで選んだというが、八重山を離れて暮らす者が故郷を思う様子を連想させた。