相談員配置明記せず 県障がい者権利条例素案


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 県の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例案」(仮称)制定に向け、当事者や有識者でつくる県民会議(高嶺豊委員長)が18日、県庁で開かれ、県福祉保健部が条例の素案を初めて示した。

条例は障がいのある人の権利擁護が目的。県素案では、差別を受けた人の相談を受ける最初の窓口となる市町村の「差別事例相談員」について、市町村に配置を求める文言を明記しなかった。委員からは、財政上の理由で配置しない市町村が出かねず、格差が生じるとの指摘が相次いだ。高嶺委員長は、県が主導権を持って小規模自治体の配置を後押しするよう求めた。
 県福祉保健部は、相談員配置を明記しない理由について「障害者総合支援法や地方分権一括法の趣旨から、市町村の事務を県が規定するのは困難だ」と指摘。「県は困難事例に対して相談や助言をする」と説明した。
 高良幸勇委員は「相談員の配置を義務付けるため、どうすればいいのか考えてほしい。条例をつくっても機能しなければ意味がない」と強調した。
 県素案では、障がいを理由にした差別のうち、困難な事例に対して助言やあっせん案を示し、関係者間の話し合いによる解決を図る「調整委員会」を設置する。解決できない場合は、差別した側を公表するなどの仕組みを設けた。