海を越え絆確認 知念ノルマさん、津堅の親族と対面


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海を越えた家族の絆を確認しあった(右から)知念ノルマさん、冨里ミヨさん、安里カツさん=20日、うるま市津堅島

 【津堅島=うるま】太平洋戦争の混乱でフィリピンに残された日系2世の知念ノルマさん(71)が20日、故父・知念常保(じょうほ)さんの出身地・津堅島に渡り、親族と初めて対面した。

 ノルマさんらは知念家の墓前で手を合わせた。常保さんの生家を訪れ、家族の写真を見せ合うなど、海を越えた家族の絆を確かめ合った。ノルマさんは「父が生まれ育った場所に来られて、皆さんが大切にしてくれていることを知ってうれしい」と涙ながらに語った。
 船から降りたノルマさんは、出迎えた常保さんの妹・冨里ミヨさん(88)、安里カツさん(78)らに駆け寄り、固く手を握った。タガログ語で「生きている間に会えると思っていなかった。うれしい」と語り掛けると、カツさんは「母も生前は、早く一緒に暮らしたいと言っていた。よく帰って来てくれた」と、何度も涙を拭った。
 ミヨさんは、ノルマさんを見て「兄に似ている」と笑顔に。「兄とは、けんかしたことがなかった。優しかった」と、常保さんと過ごした日々を懐かしんだ。ノルマさんのいとこにあたる知念貞常さん(66)は「頬のあたりが(祖母の)カマおばーにそっくり」と驚いていた。
 常保さんは1935年にフィリピンに渡った。反日感情の高まりを受け、45年3月ごろに帰国しようとトラックでマニラに向かったが、その後、消息不明になった。
 ノルマさんは近く、裁判所に国籍取得のための申請をする。「認められれば、近い将来にまた訪問したい」と希望を語った。