琉球新報社 
琉球新報社は２２日午前、参院選沖縄選挙区で３選を果たした社大党委員長の糸数慶子氏（６５）＝生活、共産、社民、みどり推薦＝と、比例代表で初当選を決めた日本維新の会新人で前浦添市長の儀間光男氏（６９）を那覇市天久の本社に招き、米軍普天間飛行場の返還・移設問題や憲法改正などの政策課題への対応について聞いた。聞き手は玻名城泰山編集局長。（文中敬称略）
＜普天間移設＞
基地機能停止を 糸数氏
まずは「辺野古」 儀間氏
―国政活動についてあらためて決意を聞きたい。
糸数 私の議席は安倍政権へ「ノー」を突き付ける１議席だ。相手候補の普天間飛行場「県外移設」公約で、争点は定まらなかったが、新基地建設反対を掲げて戦ったことが評価された。オスプレイ配備への県民の怒り、平和憲法を変える動き、消費税増税に対する不安感があった。６年間、約束した公約を守り、国会で頑張りたい。
儀間 国会の２院制はおかしいと感じている。１院制に向けて取り組みたい。鳩山由紀夫元首相は普天間の県外・国外移設を唱えたが、行き詰まり、普天間が居座ってしまった。昨年の九州市長会ではオスプレイ配備撤回が決議されなかった。情けなかったが、お願いばかりでは何も進まない。リスクを持ち、具体的に方法論を提案し、一歩ずつ進めていく。まずは辺野古をもう一度進める。
―糸数さんに聞く。辺野古移設を阻止する具体的な手立ては何か。危険性の除去についてどう考えるか。
糸数 ハワイ州知事が受け入れに関心を持っている。ハワイに引き取ってもらうことは現実的だ。自民党は危険性の除去と固定化阻止を前提に、一番早いのは辺野古だと言うが、世界一危険な基地を辺野古に移すと、そこの住民が同じ危険性に遭う。危険性の除去を言うなら、基地機能を止めることが現実的だ。
―儀間さんに聞く。世論調査では県民の約８割が辺野古移設に反対だ。辺野古移設は現実的なのか。
儀間 基地問題は（米軍に）お願いしてもなかなか動かないことを復帰４１年、戦後６８年の体験で（県民は）分かってきた。危険性の放置は許されないので、訓練は移転する。ハワイに移すということも同時に進めて、取り組んでいきたい。
＜経済振興＞
基地返還で雇用増 糸数氏
購買力を引き出す 儀間氏
―憲法改正について、糸数さんは国政で護憲勢力をどう結集するのか。
糸数 国会では改憲派が多いのが現実だが、集会の自由、言論の自由すら奪うような自民党の改憲草案をもっと国民に知らせていかなければいけない。
―どこかの会派に所属することは考えているか。
糸数 山本太郎さんなど無所属で当選した方がいる。院内会派をつくれるなら、そこに所属し、質問時間を確保できるよう模索していきたい。
―日本維新の会は憲法９６条改正を訴えているが、どう対応するつもりか。
儀間 私の基本的な姿勢として、憲法は前文から全ての条文を逐条審議すべきだと思う。制定から７０年近く、現在にそぐわない部分もある。タブーとせず、９条も９６条も議論して残せばいい。国会を１院制にして議席を減らす。これも憲法で書き込まないといけない。首相の公選制、道州制も憲法に書き込まないと強制力がない。
―参院選ではアベノミクスも大きな争点になった。経済振興、雇用対策も含めて、どのように考えるか。
糸数 相手候補者は百点満点と言っていたが、県民の審判はやはり「ノー」だった。県民や国民にしわ寄せが来るような物価高はちゃんとした経済政策ではない。県経済の将来を考えた場合、基地を返還させ、跡地で新しい雇用を生み出していくことが必要だ。国際空港の滑走路もできる。海外からの観光客と物流をどのようにしてアジアに向けるのか、どう発信していくかで県経済の底上げはできる。
儀間 アベノミクスは１年もたっておらず、県民全てへの効果は、まだない。大切なのは、購買力を引き出す経済政策になっているかだ。その点を点検すべきだ。
―仲井真知事と連携していく考えは。
糸数 普天間基地の県外移設やオスプレイ反対で一致している。次は辺野古への埋め立て申請。知事が今の姿勢を堅持するなら評価する。私への１票は埋め立て申請も反対だと、県民が表明したということ。今後も反対という気持ちを一緒に貫いてほしい。
―投票率の低下は政治不信の表れだ。
糸数 当選後に基地問題でスタンスを変えた政治家がいる。１票を投じても守ってくれないという不信感、諦めている県民がいる。自分の責任で言ったことはきちっと守る姿勢を貫いていく。
儀間 本当の姿を有権者に見せるべきだ。自民党県連が県外と言っても、党本部が辺野古と言っており、実現しないと読める。そういうことはやめるべきだ。
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