ダイオキシン検出 識者「枯れ葉剤」


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沖縄防衛局が環境基準値を超えるダイオキシンを検出したことを報告した県、沖縄市、防衛局の調整連絡会議=24日午前、沖縄市役所

 【沖縄】沖縄市の米軍基地返還跡地のサッカー場から米国の枯れ葉剤製造大手企業の社名が記されたドラム缶が発見された問題で、沖縄防衛局(武田博史局長)は24日、ドラム缶内部の一部付着物や周辺にたまった液体から、国が定めた環境基準値を超えるダイオキシン類が検出されたと発表した。

土壌の環境基準と比較した場合、付着物は基準値の1・1倍、液体は水質基準値の28倍を含んでいた。専門家は「枯れ葉剤由来のダイオキシン類だ」と断言している。
 防衛局は24日午前、沖縄市役所内で開かれた県や沖縄市との連絡調整会議で調査結果を報告。東門美津子沖縄市長は会合後、サッカー場敷地の全面調査を実施する考えを示した。3者は、今月末に出る沖縄市の調査結果を踏まえ、今後の対応を検討する。
 ダイオキシン類は、ドラム缶の全22検体から検出された。環境基準値を超過したのは2検体で、最も高い数値は毒性等量(TEQ)1グラム当たり1100ピコグラム(ピコは1兆分の1)。残りは62~1000ピコグラムと数値にばらつきがある。液体は同1リットル当たり28ピコグラムを含んでいた。
 米軍がベトナム戦時に使用した枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」の主要成分「2,4,5―トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5―T)」は、22検体中13検体から検出された。一方、同じ主要成分の「2,4―ジクロロフェノキシ酢酸(2,4―D)」は、全ての検体から検出されなかった。
 結果から、防衛局は「オレンジ剤の断定は一切できない」と指摘。ベトナム戦時に多くの除草剤で「2,4,5―T」が使用されていたと説明した上で、「除草剤の可能性がある」とした。
 ダイオキシンの処理や分析技術を研究する本田克久愛媛大学教授は、枯れ葉剤特有のダイオキシン類の一種「2,3,7,8―テトラクロロジベンゾ(2,3,7,8―TCDD)」が多く含まれていることに着目。「この物質が7割を占めるのは枯れ葉剤由来のダイオキシンで間違いない」と断定し、汚染土壌の浄化を求めた。
 ドラム缶と液体のいずれからもポリ塩化ビフェニール(PCB)は検出されなかった。ドラム缶発見地点の土壌からは、基準値を下回る同1グラム当たり140ピコグラムのダイオキシンが検出された。基準値を若干上回るヒ素やフッ素が検出された。
英文へ→Okinawa detects Agent Orange ingredients in barrels found on land returned by U.S. military