米軍、海に毒ガス廃棄 本島東、元米兵ら証言


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 英字紙ジャパンタイムズは28日、在沖米軍が1969年秋、知花弾薬庫に貯蔵していた毒ガス兵器を沖縄本島の東海岸沖合に廃棄したと報じた。作業に関わった元米兵らが証言した。作戦は県民に知らせず秘密裏に行われ、48時間で完了したという。

 在沖米軍の毒ガス貯蔵は、69年7月に知花弾薬庫で起きた毒ガス漏れ事故を米紙が報道したことで発覚した。これを機に県内で撤去運動が高まり、米軍は70年に毒ガス移送を発表した。今回の証言によれば、米軍は事故の数カ月後、毒ガス兵器の一部を海に廃棄していたことになる。
 ジャパンタイムズによると、当時の米軍警察(MP)だったトム・ウェストフォール氏は、毒ガス兵器を乗せた6台のトラックが知花弾薬庫から出発するのを監視した。関係者には全員ガスマスクが支給されたという。「廃棄されるものが安全なのか、いずれ海水に分散しないかという会話を荷台の中で聞いた」と証言している。陸軍港湾労働者だったジェームズ・スペンサー氏は天願桟橋で毒ガス兵器が積まれた船に乗った。兵器は長さ約3メートル、直径90センチの鋼鉄の容器に入っており、いくつかの容器はさびていたという。関係者は全員ガスマスクとゴム手袋を装着し、解毒剤の入った注射器も支給された。船が沖合に到着すると、フォークリフトで容器を海に押し出して廃棄した。
 元米兵らの証言に対し、国防総省は「1969年秋やそれ以外の日付で、沖縄の東海岸沖に化学兵器を廃棄した記録はない」とし、廃棄を否定しているという。
 記事を書いたジョン・ミッチェル氏は「容器は劣化していくので、海に漏れ出す危険性がある。薬物にさらされる危険性と廃棄された場所を県民に知らせる必要がある」と強調している。