執心鐘入に後日談 「若松と宿の女」組踊素材に現代劇


社会
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若松を探しにきた宿の女(右、佐辺良和)に語り掛ける小僧3(中央、宮川雅彦)ら=23日、沖縄市民会館

 キジムナーフェスタ参加作品の「若松と宿の女~執心鐘入より~」(作・玉城朝薫、脚本演出・みうらもとお、高宮城実人)が7月21~23日、沖縄市民会館で上演された。

 組踊「執心鐘入」を現代劇に再構成。宮川雅彦が江戸から来た小僧3をコミカルに演じながら、組踊の決まり事やせりふの意味を観客に説明した。原作にはない宿の女(佐辺良和)の後日談も加え、現代人の感覚に訴える作品に仕上げた。
 原作は、中城若松を思うあまり鬼女となった宿の女が、座主の法力に退けられて終わる。
 本作では、宿の女が人間に戻り小僧3と結ばれるハッピーエンドに変えた。これまで宿の女を哀れに思っていた人には、うれしい演出だ。
 ただ、言い寄る宿の女に、若松(知花小百合)が言い放つ「女に生まれて義理を知らない者は地獄のようなものだ」という意味のせりふも説明してほしかった。傷つき、恋慕が執念に変わる女の心境が、分かりやすくなったのではないか。
 登場人物は標準語やウチナーヤマトグチを織り交ぜ、現代人も親近感が持てるようにしていた。
 花城英樹ら地謡も、宿の女が鬼女に変わる場面で効果音を演奏するなど工夫を加えた。