浦添市前田で28日に、沖縄戦当時に戦死した日本軍兵士とみられる遺骨が見つかった件で、遺骨とともに発掘された銃剣がなくなっていることが30日、分かった。
29日、戦没者遺骨収集情報センターの職員らが現場で銃剣だけがなくなっているのを発見し、全ての遺骨を収集した。
一方、遺骨の周辺から「田畑」と彫られた印鑑が見つかったとの本紙報道を知り、樺太出身の田畑一男さん(75)=東京都在住=が「父親かもしれない」と名乗り出た。
なくなった銃剣には名前が刻まれている可能性もあり、手掛かりが一つなくなったことについて遺骨収集ボランティア団体「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「困惑している。今までこういうことはなかった。死者の持ち物を現場から持ち出すのはやめてほしい」と訴えた。「これからの遺骨収集の在り方が、このままでいいのか問われるかもしれない」とも話した。
名乗り出た田畑さんは、琉球新報の取材に「沖縄で亡くなった陸軍所属の父かもしれない」と話した。父親の名前は耕三さん。DNA鑑定を厚生労働省に申し出る予定だ。父親の死亡日は1945年5月29日。
一方、糸満市摩文仁の平和の礎には全国で53人の田畑姓が刻銘されており、耕三さんの名前も刻まれている。(阪口彩子)