水質280倍、土壌8.4倍 沖縄市ダイオキシン


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環境基準を超えた調査結果の最高値

 【沖縄】米軍基地返還跡地の沖縄市サッカー場で見つかったドラム缶から環境基準値を超えるダイオキシン類が国の調査で検出された問題で、沖縄市は31日、市独自の調査結果を発表した。ドラム缶の周辺液体や付着物の一部から水質基準値の280倍、土壌基準値の8・4倍のダイオキシン類を検出した。

枯れ葉剤の主要成分の一部も検出。市の委託で調査・分析した南西環境研究所は、ベトナム戦当時の枯れ葉剤製造大手企業の社名がドラム缶に記されていたことを踏まえ「枯れ葉剤も含まれていた可能性はある」と総括した。
 沖縄市は31日、国、県、市議会に結果を説明した。市議会は同日午後、基地に関する調査特別委員会を開き、国に全面調査や原状回復を求める意見書を可決した。5日の臨時会で可決する見通し。枯れ葉剤「エージェント・オレンジ」の主要成分「2・4・5―T」は、ドラム缶22検体中18検体で検出された。同様の主要成分「2・4―D」は全検体で検出されなかった。22検体中11検体でPCB(ポリ塩化ビフェニール)を検出。最高値は環境基準値の6・4倍の1キログラム当たり3・2ミリグラムだった。
 研究所の報告書では、検出されたダイオキシン類の組成が農薬や除草剤のPCP(ペンタクロロフェノール)に起因するとも指摘。ほかにもヒ素やフッ素などの有害物質が比較的高い濃度で検出されたことから、枯れ葉剤に加えて「その他の有害物質による複合汚染である」と評価した。
 ドラム缶付着物22検体のうち、土壌基準と比較した場合、2検体で基準値を超過した。最高値は毒性等量(TEQ)1グラム当たり8400ピコグラム(ピコは1兆分の1)。周辺液体は同1リットル当たり280ピコグラムを検出した。
 枯れ葉剤特有のダイオキシン類の一種「2・3・7・8―TCDD」は、TEQ総量に占める割合が7割を超える高濃度な検体もあり、枯れ葉剤由来のダイオキシンの可能性がある。サッカー場表層や残土、北谷町のキャンプ桑江跡地の土壌から検出されたダイオキシン類は、基準値を大幅に下回った。ドラム缶埋設場所の土壌からは、基準値以下だが要監視濃度(同1グラム当たり250ピコグラム)を超える340ピコグラムが検出された。
英文へ→Levels of Agent Orange ingredients found in Okinawa City exceed Environmental Quality Standard