沖縄農産物のファン“養成” フタバ種苗卸部


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「笑顔をつなぐ、タネをまこう」をスローガンに、沖縄農産物のPRを進めるフタバ種苗卸部の四海健一販売部長(右)ら=30日、南城市の同社

 農産物や花などの種苗と苗を卸・販売するフタバ種苗卸部(南城市、谷口潤一郎社長)は、植物の育て方や調理法をまとめたガイドブックの発行をはじめ、島野菜のPR強化などで沖縄農産物のファンづくりに奔走している。

県内外で耕作放棄地の増加や農家の高齢化が続く中、法人や農家向けの取引だけでなく、売上高の約3割を占める対個人取引を増やすことで経営基盤の強化にもつなげたい考えだ。
 取り組みは県産業振興公社の2012年度中小企業課題解決・地域連携プロジェクト推進事業を活用。自社の紹介パンフレットやガイドブックの作成、通販サイトの再構築などを担当する六つのチームを社内に立ち上げ、社のPR力強化だけでなく、沖縄野菜の魅力を紹介している。
 社員の多くが写真で登場する会社案内パンフレットでは、営業、販売、量販部の業務を紹介。プロジェクトを統括した四海健一販売部長は「店頭に並ぶ種は信用第一。一つ一つに農家の生活が懸かっている。信用の獲得には社の歴史や経営スタンスを知ってもらうことが不可欠だ」とブランディングの必要性を強調する。
 2月下旬には、ポイント付与や購入履歴確認などのサービスがある店頭会員の入会促進キャンペーンを1週間実施した。店頭での積極的なPRが功を奏し、来店件数に対する入会率は前年同期より11・9ポイント高い13・0%を達成した。さらに、通販サイトでは従来の島野菜を中心とした商品紹介に加え、会社紹介やネットショップ会員の割引特典も設けた。その結果2月は、それまでホームページで商品購入のみを行っていた利用者がほとんどだったが、10ページ以上もサイトを閲覧した人の割合が前月より3・3ポイント高い9・2%となった。同社の取り組みの周知拡大が島野菜の関心度向上という相乗効果を生んでいる。
 「社員のスキルアップにもつながる」とプロジェクトの効果を挙げる四海部長。「これまではただお客さんが来るのを待っていた。社をPRするためには自社の取り組みを見詰め直さないといけない。社員の経営における視野が広がった」と述べた。(長嶺真輝)