被災会社の看板漂着 岩手県大船渡市→国頭村楚洲


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岩手県大船渡市から流れ着いた看板を持つ新城チカコさん=31日、国頭村楚洲

 【国頭】被災地から黒潮に逆らって届いた「奇跡の贈り物」―。国頭村楚洲に住む新城チカコさん(69)が18日、楚洲橋下の海岸で、岩手県大船渡市から流れ着いた看板を拾った。

看板は大船渡市の観光バス会社「碁石観光企画」のものであることが判明。持ち主の佐藤保代表取締役は「(看板をきっかけに)被災地のことを知ってもらえれば」と話した。新城さんは、震災を風化させないよう看板を玄関前に飾り、多くの人に見てもらおうと考えている。
 看板は縦40センチ、横65センチで、全体の左側だけが残った状態。新城さんが海岸に行った際、砂浜に転がっていた。
 新城さんは「岩手県大船渡とあったので被災地から流れてきたと知り、びっくりした」と話す。看板の社名らしきローマ字を頼りに、持ち主を探した。
 新城さんから電話をもらった佐藤代表取締役は「事務所は全て津波に流され何も残らなかった。看板が沖縄に着いたと聞き驚いた」と話す。会社は今も仮設事務所で作業を続けている。佐藤代表取締役は「復興が進まない状況を県外の人にも知ってほしい」と語った。
 新城さんは「震災を風化させないよう、看板を見て助け合いや絆の心を感じ取ってほしい」とはるばる届いた看板に思いを託した。
(田吹遥子)