支払額5億787万円 12年度産キビ共済、台風で2年大不作


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サトウキビ農家負担金と支払共済金の推移

 県農業共済組合(比嘉俊昭組合長理事)は1日、2012年度産のサトウキビについて、共済金支払総額が5億787万円だったと発表した。最近10年間では前年の8億円余に続き2番目に高い実績となった。台風襲来で茎が折れて枯れたり、葉の裂傷、潮害などの被害が各地で発生。収穫量67万トン、単収(10アール当たり収量)5197キロとも1974年の統計開始以来、2番目に低い水準となり2年連続で大不作となった。

 4809戸の共済加入農家のうち、48・7%の2341戸が支払い対象農家で、1戸当たりの平均支払額は21万6900円だった。農家負担分(共済掛け金)に対する支払総額の割合を示す支払率は3・7倍余、県農業共済組合の単年度収支でおよそ6千万円の赤字となり、法定積立金を切り崩して支払う。地域別の支払率は、本島北部が18・5倍余で最大だった。
 加入農家の作物が全滅した場合を仮定した支払限度額のうち、実際の支払額の割合を示した金額被害率は10・1%で、前年を7・6ポイント下回った。
 一方、ビニールハウスなどの園芸施設共済についての支払いでは、340農家の758棟が対象となり支払総額は1億228万円だった。
 共済金掛け金では、12年のキビ農家戸数加入率は県全体で前年比0・8ポイント増の28・8%、キビ面積に占める加入率は2・7ポイント増の41・0%。園芸施設に関する加入率は2・3ポイント増の19・1%。いずれも増加傾向だが、全国平均は60%余り。沖縄は自然災害が多く、共済金掛け金が全国平均の3倍近くあり、加入しづらい状況がある。
 県農業共済組合は現在、一括交付金を活用し、共済加入農家を対象にキビは掛け金の22%、園芸施設は60%相当額を助成。共済への加入拡大と被害率低減を目的に支援事業を実施している。同組合は「自然災害が多い沖縄では特に、農業経営のセーフティーネットである共済制度への加入は重要」としている。