【八重瀬】八重瀬町具志頭で約6千頭の豚を飼育する「具志頭畜産」から発生する悪臭問題で、同養豚場の周辺住民が頭を悩ませている。住民から「窓が開けられない」「洗濯物が干せない」などといった声が上がり、町や養豚場に改善を求めている。
町が2009年から毎年1回実施している養豚場内の臭気指数測定では、許容限度の数値15を毎回上回り、町は養豚場に対し「改善勧告」を2度行っている。12年には臭気指数24を記録し、臭気指数を測定した民間会社の担当者は「かなり高い」と指摘。その上で「悪臭が高濃度になれば人体への影響も出てくる」とした。
約50年前に建設された同養豚場。外部からの人口流入や環境意識の高まりを受け、近年、悪臭問題が取り沙汰されるようになった。この問題を解決しようと、養豚場に近接する港川の住民は11年に「港川悪臭対策委員会」(大城達也委員長)を設立。この養豚場で10年から豚を預託飼育する「那覇ミート」(南城市、酒井文雄社長)と町、同委員会の3者で改善策を話し合う「具志頭畜産環境保全対策連絡協議会」を立ち上げ、協議を進めている。
7月28日には、酒井社長ら同社幹部と港川や長(なが)毛(もう)、具志頭などの周辺住民約150人が参加した「住民説明会」が港川公民館で開かれた。同社は悪臭防止策として、10年から外部農場へ豚の移動を進め、これまで約5千頭削減したことや、豚舎を閉め切り悪臭の排出を防止する「セミウインドレス化」の実施など、さまざまな対応策を説明した。
しかし住民からは「毎日おびえるように窓を開けている」や「いつまで我慢すればいいのか」「地域の発展を妨げている」などと厳しい意見が続出。中には「移転してほしい」といった声もあった。
酒井社長は「悪臭防止対策を行っているが、まだまだ不十分。根本的な対策として、豚舎のセミウインドレス化をさらに検討する。臭いをなくすよう最大限努力したい」と強調した。
(梅田正覚)