県民反対の声届かず オスプレイ追加配備


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沖縄への追加配備に向けて岩国基地に陸揚げされる垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=7月30日、山口県岩国市

「負担倍増」も無関心/両政府、規定路線を強調
 米軍普天間飛行場に追加配備されるオスプレイ4機が3日飛来する。残り8機も5日に到着する見通しで、既存の12機と合わせて県民の負担は「倍増」することになる。運用ルールや安全確保策に違反している飛行実態を指摘しても、日本政府は米軍の説明に沿って安全性を強調。県庁内では県民挙げた配備反対の声が届かないことへのもどかしさが渦巻く。一方で、米政府は追加配備問題を淡々と見守る。日本の国内問題と捉える向きもあり、無関心さが際立ち始めている。

■「言い続けるしか」
 訪問先の米ハワイで飛来に関する連絡を受けた県の又吉進知事公室長は「県の懸念は変わっていない。政府にはこれまで通り再考を求めていきたい」と強調し、今後も配備計画の見直しに向けた対政府折衝を続けていく考えを示した。
 だが庁内では昨年10月の最初の配備の見直しも求めている中で、「既成事実」を積み重ねられることへのいら立ちも隠せない。県幹部は「本土への訓練移転などの負担軽減の実現性は見えず、意見は聞き入れられない。今後どのように反対を訴えていけばいいのか」とため息を漏らす。
 親川達男基地防災統括監は今後の対応について「悩ましいが、配備反対を訴え続けるしかない」と語る。県軍用地転用促進協議会(軍転協)などの枠組みを通して、オスプレイをめぐる政府の姿勢にくさびを打ち続ける構えだ。

■安全性を強調
 政府は沖縄の負担軽減に向けた取り組み姿勢を強調しているが、米軍に配備計画を見直しを求める考えはない。
 小野寺五典防衛相は2日、「基本的には民主党政権時代に(配備計画に関する日本側への正式通告となる)接受国通報があった。今回も淡々と行われていると思う」と追加配備は既定路線との認識を示した。
 岸田文雄外相は「依然地元に大変厳しい声があると承知しているが、安全性、安全保障上の意義をしっかりと丁寧に説明していかなければならない」とオスプレイの「安全性」を強調し、県民に理解を求めた。

■問題「決着済み」
 安全性に関する県民の懸念を横目に米国内ではオスプレイ配備問題は一段落したとする雰囲気が漂う。
 昨年10月の最初の12機配備時は海兵隊のエイモス総司令官が声明を発表し、長期間の設計、開発過程などを細かく説明したが、今回は米側からの声明などはなく、日本国内の状況を見守る姿勢に終始している。
 追加配備を正式に合意した今年4月の日米防衛相会談の際、小野寺防衛相はヘーゲル米国防長官に「安全対策の徹底を求めた」と強調したが、直後に防衛省の担当者は「今回は岩国からの移動に時間はかけない。安全性の確認作業はもうない」と説明。「問題はもう決着した」とする米側の意向を追認する考えを示していた。こうした日本政府の姿勢を背景に米軍は岩国への陸揚げからわずか4日で沖縄への配備を発表した。
 (池田哲平、問山栄恵、島袋良太)