利用増へ“起死回生策” 周遊バス・ゆいゆい号


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市内を走る「ゆいゆい号」。乗客は確認できない=5日、那覇市のパレットくもじ前

 那覇市の主要観光地を巡る観光周遊バス「那覇ま~い ゆいゆい号」が6月の開始以来、利用者が少なく厳しい状況となっている。当初の計画では、1日300人の利用を目指していたが、夏休みに入った最近は約半数強の180人、1台当たりの利用者は平均7・2人となっている。

午前中は観光ガイドが乗車しているが、乗客がいないこともある。業務を委託された那覇市観光協会は「告知期間が短く、認知度が低い」と課題を挙げ、次々と“起死回生策”を打ち出している。
 「ゆいゆい号」は1日25便。バスターミナルを起点に、識名園、首里城、国際通りなど、市内の世界遺産や観光地15カ所を巡る。同協会によるとバスの開通許可が6月のスタートぎりぎりになったため、まさに「走りながら」始まった。6月は乗客数人という状況もあった。
 7月から乗客は徐々に増えているものの、目標には程遠く、広報なは「市民の友」8月号の1面全面を使って「ゆいゆい号」をアピールし、市民の利用を呼び掛けた。通常のバスに比べ停車回数が少ないため、通勤、買い物などの移動では「急行バス」のように早いと強調している。また夏休みの小学生の利用を狙い、市内全児童にチラシ約2万枚を配布した。ガイドの説明が聞けることで自由研究への活用も期待している。ガイドの乗らない午後も映像で同様の解説が聞ける。「紅型柄のバスは、何のバスか分からなかった」など、市民から問い合わせも出てきている。
 これまでは終点の那覇バスターミナルで降りて、料金を払って乗り直していた。この点も、乗り継ぎ券の導入について運行会社の那覇バスと調整が付く見通しで、改善できそうだ。
 さらに那覇市の無料公衆無線LANサービスのナハ・シティ・ワイファイが4日からスタートし、主要サイトのNAHAPO(ナハポ)で、ゆいゆい号の紹介も拡充した。外国人利用者の増加も期待できる。
 県外、海外へのプロモーションに力を入れる那覇市観光協会の千住直広マネジャーは「英、中、韓の多言語パンフレットの完成も近づき、やっと売り込める状況が整ってきた」と強調。「旅行プランに乗車券もセットしてゆいゆい号が組み込まれてくると大きい。40万人来る修学旅行生のニーズにも応えられるし、多様な旅行プランを提示していきたい」と力を込める。トレジャーハンターなどゲームの要素を取り入れた計画もあり、今後の広がりが期待されている。