米軍ヘリ墜落 ハンセン内、民家まで2キロ


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米空軍ヘリ墜落から約20分後、事故現場から上がる白煙=5日午後4時19分ごろ、宜野座村のキャンプ・ハンセン(嘉陽拓也撮影)

 宜野座村松田の米軍キャンプ・ハンセンで5日午後4時ごろ、米空軍嘉手納基地所属のHH60ペイブホーク救難ヘリコプター1機が墜落、炎上した。米軍や防衛省によると、ヘリには少なくとも4人が搭乗していた。

3人は安定した状態で、1人はまだ見つかっていない。県警が米軍に照会したところ、6人が搭乗していたという情報もある。午後9時時点まで、機体や周辺の山林は燃えていた。米軍ヘリが消火活動に当たった。県警によると、基地外への飛散物や人的被害は確認されていない。宜野座村は6日に沖縄防衛局へ抗議し、村議会は7日にも抗議決議する。
 墜落後に、石川署や村、金武地区消防衛生組合が現場への立ち入りを求めたが、米軍は拒否した。米軍は拒否した理由を明らかにしていない。
 村は5日午後9時、村民の水源の一つとして利用され、基地内の墜落現場近くにある大川ダムからの取水を中止した。6日に立ち入りを米軍に求める。
 墜落現場から約2キロの位置には民家が点在、在宅していた住民や農作業をしていた人もいた。約2キロの距離にゴルフ場、約3・8キロには村役場、約1キロ先に沖縄自動車道がある。
 県警や目撃者らによると、墜落直前、HH60の2機が基地上空を旋回していたが、このうち1機が上空から消えた。午後4時8分、村職員から「ハンセン方向から煙が見える」と通報があった。同5時40分ごろ、県警のヘリが炎上しているヘリの残がいを発見、ほぼ全焼していたという。
 嘉手納基地によると、HH60は墜落直前まで訓練をしていた。現在、米軍が墜落原因を調べている。HH60は6月5日にも東村高江の米軍北部訓練場内に緊急着陸した。HH60の所属する嘉手納基地ヘリコプター部隊は第33救難中隊しかなく、墜落機は同中隊所属とみられる。同基地をめぐっては、ことし5月にも所属するF15戦闘機が沖縄本島東の沖合で墜落している。
 復帰後、県内で発生した米軍機の墜落事故は45件目で、うちヘリの墜落事故は17件目となった。

<用語>HH60救難ヘリコプター
 嘉手納基地第33救難中隊所属の中型ヘリコプター。HH3ヘリとの交代で1994年6月、米空軍嘉手納基地へ配備された。嘉手納基地には10機が常駐。配備後の94年10月、韓国で訓練飛行中に墜落し、米兵5人が死亡した。嘉手納基地などで、緊急事態が生じた軍用機がある際は、救難に備え待機する。2005年には久米島町の農道に緊急着陸している。

英文へ→U.S. military helicopter crashes in training area near village