「野鳥の楽園」ピンチ 少雨で池干上がる


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干上がった池を前に「ことしが一番ひどい」と語る仲地邦博さん=1日、宮古島市の大野山林

 【宮古島】5月以降少雨が続いている宮古島で、山林内の池が干上がるなど干ばつが人間生活だけでなく自然にも影響を及ぼし始めている。

水源がなくなれば宮古島へ繁殖に来た野鳥たちにとっては死活問題。関係者は早期のまとまった降雨を期待している。
 落ち葉を残し枯れた小川、干上がって地割れが走った池。宮古島唯一の森林である大野山林を歩くと、至る所で干ばつの影響が表れていた。
 「山林を歩き始めて15年近くたつが、ことしが一番ひどい」。市内の愛鳥家でつくる「宮古野鳥の会」の仲地邦博会長は声を落とした。
 仲地会長によると、大野山林にある3カ所の貯水池のうち、2カ所は既に干上がったという。残る1カ所もわずかな水たまりが残っているだけだ。
 懸念されるのが野鳥への影響だ。「野鳥の楽園」ともいわれる宮古島へはこの時期、夏鳥のアカショウビンやサンコウチョウが飛来し子育てにいそしんでいるが、命を育む水源がなくなる危機にひんしている。
 仲地会長は「野鳥たちにとって池は水飲み場であるとともに、水浴び場でもある。体に付いたダニなどを落とす意味でも水浴びは大切で、できなくなれば病気になる恐れがある」と指摘。「残る池も、このままではあと1週間持つかどうかだ。鳥たちにとっては大ごとだ」と懸念した。
 宮古島市みどり推進課は、6日から山林内の小規模な池への注水を始めた。