米軍が民間飛行制限 現場上空、法的根拠なし


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米軍がノータムで通知した飛行制限区域(クリックで拡大)

 宜野座村のキャンプ・ハンセンで起きた米空軍嘉手納基地所属のHH60ペイブホーク救難ヘリコプタ―墜落事故を受け、嘉手納基地が6日から「ノータム」と呼ばれる航空情報を出し、墜落現場上空の報道用ヘリを含む民間機の飛行を制限していることが7日、分かった。

上空の管制権を持つ国土交通省への事前連絡はなく、航空法に基づかないことから、同省航空局運用課は「法的根拠がなく、文書自体に効力はない」としている。制限は15日まで。
 県内の管制を担う那覇空港事務所は、現場付近を飛ぶ航空機に米軍による飛行制限を伝えており、根拠のない一方的な航空情報が、事実上容認されている実態も明らかになった。
 6日は事故現場から半径11キロ、高度3キロにわたり飛行制限された。同空域に出向いた報道機関のヘリ複数機が現場に近づけなかった。国交省管制課の担当者によると、那覇空港発着の民間旅客機航路には該当せず、支障は出ていない。
 嘉手納基地第18航空団報道部は7日夜、琉球新報の質問に対し「地域や日本国内レベルで連携し、日米両政府の手続きにのっとり発行された。航空機に危険を伝える国際民間航空機関基準も満たしている」と回答した。
 制限空域は7日夕、半径5・5キロ、上空600メートルまで縮小された。15日午後8時40分まで制限される。
 米軍が民間機の飛行制限をしたい場合は外務省に要請し、必要と判断されれば国交省が「ノータム」を出して航空各社などに周知する手順となっている。
 墜落現場の中部訓練場を含むキャンプ・ハンセン全域の高度600メートルまでは、日常的に民間機の飛行が制限されている。

<用語>航空情報(ノータム)
 安全運航のために出される情報。国内では一般的に飛行場など運航関連施設で工事など業務様式の変更がある場合、国土交通省が民間航空会社など関係機関に通知する。緊急時には軍事演習など空中の危険に関する場合も通知する。米軍が通知を出すことも可能だが、その際には国交省との調整が慣例となっている。
英文へ→U.S. military imposes no-fly zone over crash site