新たな総菜開発へ グリーンフィールド、最新加工機2台を導入


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高温スチーム機器で加工したサツマイモをPRするグリーンフィールドの屋比久義夫工場長=8日、那覇市港町の同社

 カット野菜などの農産物加工・販売を手掛ける農業法人「グリーンフィールド」(那覇市、大城正雄社長)は、県産野菜を使った新たな総菜の開発に取り組んでいる。5月に最新の調理技術を搭載した加工機器を導入し、新商品の開発体制を整えた。品質の向上や多様化する消費者ニーズへの対応を強化し、販路拡大につなげていきたい考えだ。

 加工機器は、高温スチーム機器と急速冷凍機器の2台を導入した。同社敷地内に建設した625平方メートルの加工施設を含めた総事業費は2億3400万円。そのうち1億円は、国の2012年度6次産業化推進整備事業による助成を受けた。
 屋比久義夫工場長によると、100~400度の水蒸気で蒸す高温スチームは、水中で蒸すボイルとは異なり養分が逃げにくい。さらに水蒸気内は無酸素状態で、酸化による農作物の劣化を防ぐ効果もあるという。同社はスチーム野菜の養分研究も進めており、数値化して消費者へのアピール力強化につなげる。
 現在は1日100キロのサツマイモを加工して県内量販店に卸している。サツマイモは県外産だが、大城社長は「久米島ではアリモドキゾウムシが根絶された。将来的には県産紅イモを使い、県外や東南アジア向けにも出荷したい」と意欲を見せる。
 マイナス40度まで設定できる急速冷凍機は、スライス野菜を約6分で冷凍。蒸し野菜の消費期限は約2週間だが、急速冷凍により1年以上品質を保持できるという。現在は1日1・5トンものスライスしたゴーヤーを冷凍し、県外の量販店などに並ぶ総菜の原料として出荷している。大城社長は「今はまだ活用法の研究段階で、今後新たな商品開発の可能性は大きい。高齢化などでニーズも多様化しているため、需要に合うものを世の中に提案していく」と販路開拓への意気込みを語った。(長嶺真輝)