独立鉢でトマト収穫増 長山さん ポットファーム県内初導入


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ポットファームを導入した長山長央さんのハウス=9日、石垣市新川

 【石垣】トマトの苗を1鉢ずつ独立したポット(鉢)で栽培し、コンピューター制御で生育を管理する「ポットファーム」を、石垣市新川の長山長央さん(53)が県内で初めて導入した。通常の栽培方法による収穫量は千平方メートル当たり年間10~20トンだが、ポットファームでは30トン以上が見込める。苗を1鉢ずつ管理しているため、伝染病にも強いという。

 ポットファームは、岐阜県農業技術センターが開発した。鉢は地上から約50センチの高さに並べて設置し、点滴で水と肥料を供給する。雨を感知するセンサーや鉢からあふれた水の量を集計する機械があり、水の供給量を自動制御できる。
 ハウスで気温や湿度を適切に保ち、病気も防げるため、安定した収穫が見込める。鉢を高い位置に設置しているので、腰をかがめて収穫することもなく、作業負担も軽減できる。
 長山さんによると、県内では台風被害を想定して夏場のトマト栽培を控える傾向にあるが、強度が高いポットファームのハウスは台風にも耐えられるという。
 長山さんのハウスには生育を監視するウェブカメラを設置し、県立八重山農林高校と提携して授業にも活用する。
 長山さんは「本土では冬場に灯油を使って室温を高くするが、沖縄はその必要がなくコストが低減できる」と利点を説明。「コンピューター制御で作業がマニュアル化されているので、やる気があれば誰でも仕事ができる。若い世代の雇用を生み出したい」と語った。