音楽療法 遠くてもOK ネット活用 最新機器で音ずれず


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ネット回線でつながった音楽療法士の指示に従い、歌や演奏を楽しむ認知症患者ら=2日、石垣市浜崎町のあかゆらグループホーム

 【石垣】NTTとヤマハが共同開発した最新の通信機器を使い、認知症患者への「音楽療法」を中継で行う予備実験が2日、市浜崎町のあかゆらグループホームで行われた。神奈川県のNTT厚木通信研究所にいる音楽療法士がインターネット中継を通じて伴奏し、患者らは楽しそうに歌った。

 インターネット回線による中継は従来、わずかな時間差が生じるため、中継で伴奏や合唱をすることはできなかった。今回はNTTとヤマハが共同開発した通信サービス「光☆デュエット」を使用することで音声の遅延をなくし、遠隔地間の音楽療法を可能にした。
 あかゆらグループホームでは9人が音楽療法を受講。スクリーンに映し出された音楽療法士の指示に従い、歌を歌ったり太鼓をたたいたりして療法を楽しんだ。
 実験は国の最先端・次世代研究開発支援プログラムで採択されたNTTメディア情報研究部の小杉尚子工学博士が実施。音楽療法士がいない地域でも音楽療法を可能にし、多くの楽器を移動させなければならない音楽療法士の負担軽減を目指す。9月まで週1回で予備実験を行い、10月からは本実験を開始する。
 あかゆらグループホームを運営する福祉ネットワーク・やえやまの當山房子代表は「石垣には音楽療法士がいないので、ありがたい」と話した。