悲恋の「かぎやで風」 当銘と照屋が二人芝居


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役者一人、地謡一人の芝居に挑んだ当銘由亮(左)と照屋早月=7月27日、沖縄市のコリンザ内特設会場

 キジムナーフェスタ自主参加作品の「かぎやで風(かじゃでぃ風)哀話」(当銘由亮(よしあき)作・演出)が7月27、28の両日、沖縄市のコリンザ内特設会場で上演された。

沖縄芝居などで活躍する当銘が、野村流音楽協会教師の照屋早月(さつき)を迎え、役者一人、地謡一人の芝居に挑戦した。
 主人公の樽金は王府に勤める真面目な青年。恋心を抱く真鶴と尊敬する先輩の縁談が持ち上がり、思い悩む。樽金は「誠の道」を考え抜いた末、自分の気持ちを封じ込め、「かじゃでぃ風」で2人を祝福する。
 真鶴は照屋が演じたが、その他の登場人物は当銘の一人芝居。祝儀舞踊の「かじゃでぃ風」を悲恋に結び付けた発想が斬新だ。音楽は「仲風節」といった古典の定番から、沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」まで自由に盛り込んだ。その中でやはり、寂寥(せきりょう)感のにじむ表情で踊った最後の「かじゃでぃ風」が胸を打った。照屋は凜(りん)とした歌声を聞かせた。
 当銘のせりふはウチナーグチだが、日本語も交えて分かりやすいよう工夫した。一方、真鶴は英語。外国人客にも理解してほしいとの思いからだが、2人とも英語でしゃべる回を設けるか、字幕を使わないと難しい気がした。
 役者一人、地謡一人の形式は、沢田研二がバンドを従えて一人芝居を演じた「act」シリーズの影響という。当銘は「役者と地謡の対決」と説明する。照屋との“再対戦”や、ほかの実演家を迎えての次回作も期待したい。